オンボーディングの実践的具体策|離職抑止と早期成長

オンボーディング

離職や早期成長に対する働きかけとして「オンボーディング」という仕組み化が注目を集めています。

新しく組織に参加する人材は、会社のルールやマナー、人間関係の構築、業務のやりかたや目標達成など様々な取り組みを学ぶことになります。

多くの問題をできるだけクリアして、はやく成果をあげるためのオンボーディングを構築していきましょう。

オンボーディングの3つの要素

  1. 新人研修で離職低下
  2. チェック体制で環境整備
  3. 早期成長施策で成果を出してもらう

オンボーディングは、離職に対しての施策のみで語られることが非常に多いですが、3つの要素を主眼として施策を建てましょう。

人材は成果をだしてもらうために採用しているはずです。したがって、離職特化のオンボーディングは目的から乖離していることになるからです。

新人研修:2段階目的で設定する

1.入社して良かったと思わせる

新人研修は大きく2つの項目にわけて行うべきです。一段階目は、「この会社に入社して良かった」と思ってもらう努力をすべきです。

新人が集まる場面で新人一人ひとりに入社動機を話してもらい、お互いがお互いを肯定できるような場にする手段をとりましょう。

新人の中には、自分はこの会社でやっていけるのかと不安になってる子もいるため、肯定しあう環境づくりが大切です。

ロイヤリティでチーム編成を行うのがおすすめ

新人が多い場合は、ロイヤリティから考えてチーム分けをすることがおすすめです。実際の能力や性格などは読めないですが、会社へのロイヤリティについては人事であればなんとなくわかるものです。

なんからの集まりの場において、ロイヤリティの高い新人が「この会社はこんなところが良い!」と触れ回れるような仕組みを行うことで、新人フォローが自動化されていきます。

新人のロイヤリティを見抜きにくい場合は『どこに住んでいるか』を基軸にして、ロイヤリティの高い先輩をメンターにすれば、突然の退職を防いだり、良い人材との交流を促すことが可能です。

2.キャリアプランを白紙にする

入社してくる社員の多くは、自分の将来像や社内でのキャリアを考えてきています。生々しい話ですが、採用担当者は面接時には夢に賛同しても、実務ではそれを否定せざるを得ない場面がでてきます。

新人がすべて理想通りの業務につけるわけもなく、先輩社員との考え方ともかい離が生まれてしまうため、「なんでもやります!」と言ってもらえるようにマインドをリセットさせることが大事です。

人は誰しも理想と現実のギャップに悩みますが、とくに新人はギャップが要因で会社を辞めるケースが非常に多いため、マインドセットは人事のおおきな役割です。

キャリアの偶発性の大事さを訴える

キャリアの白紙化には、過去の偉人や活躍している先輩などの『偶発性によるキャリアアップ』について熱弁しましょう。どのような職務だったとしても、結局目の前のことをやりきった人材が活躍すると刷り込むのです(事実ですが)。

実は、個人のキャリアは予想しない偶発的事柄によって決まることは「ブランドハップンスタンス理論(計画された偶然)」と言われ、有名なデータ理論にもなっています。

成功を収めたビジネスパーソンを対象にキャリア分析を行った結果、実に8割の対象者が「現在の自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るところが大きい」と答えたそうです。

チェック体制:従業員エンゲージメントの意味と効果

エンゲージメントの意味

ギャラップ社のエンゲージメントサーベイ
Q12(キュー・トゥエルブ)
Q1 職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2 仕事をうまく行うために必要な道具を与えられている
Q3 職場で得意なことをする機会を与えられている
Q4 この7日間のうちに、良い仕事をしたと認められたり褒められたりした
Q5 職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6 職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7 職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8 会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9 職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10 職場に親友がいる、気の合う仲間がいる、尊敬できる人がいる
Q11 この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12 この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

新人が現場にトスアップされた後、人事が行うべき行動としてエンゲージメントサーベイがあります。

米国最大の調査会社であるギャラップ社が全世界1300万人のビジネスパーソンを調査して、企業に対する信頼性を図る12の質問をあぶり出したのが「Q12(キュー・トゥエルブ)」です。

エンゲージメントなんて意味がない

ギャラップ社に喧嘩を売るつもりはありませんが、エンゲージメントサーベイ事態には意味がありません。エンゲージメント自体がはやりものであり、実際に国内で流行った2012年から、導入社数はみるみる減退している一方、GDPは上昇しています。

しかしながら、重要なメッセージももちろんあり、「人事がしっかりその後の働きやすさや成長具合をチェックしている」という象徴になることです。

きちんと人材に向き合っているという姿勢を見せるという意味で、サーベイという手段をとるのは悪い選択ではありません。

早期成長促進:利害関係のない社内ネットワーク構築

成長を促すにはメンターが鍵

業務目標達成や行動遂行性を高めるのに、人事側が行える現場側への配慮は、新人に対するメンター設定です。

新人は、初動はもちろんですが、入社から1ヵ月、3か月、6か月で成長に行き詰まりを感じやすい傾向にあります。成長へのハードルを取り除くのに一番てっとりがやいのがハードルを乗り越えた人材のアドバイスです。

優秀層はどんな環境でも成長できますが、そうでない多くの人材には、良いメンターをアテンドできる環境を構築しましょう。

メンターは利害関係のない人材

メンターには業績が良い人材を選びがちですが、そうではありません。成果だけに着目すると「あの人は自分と人種が違う」と思われ、効果をだせずに終わりがちです。

メンターは業績以外の選定理由を設けるべきであり、それは対象者にとって「自分もあんなふうに働きたい」と思わせられる人材であるかどうかが大切です。

仕事を楽しんでいて、かつ自分との利害関係が発生しないようなメンターを設定できれば、話を主体的に聞き入れる確率が増えるため、成長を促しやすくなります。

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