信頼関係を築くための5つの要素
組織に信頼関係があると、人が迷わずに動き、成果が出しやすくなります。しかし、信頼を築くことは一朝一夕ではできません。
本記事では、500万部以上の累計発行部数を誇る『影響力の武器』で提唱されている5つの要素をもとに、信頼関係の築き方を解説します。
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信頼関係とは
信頼関係とは「信頼して信頼される関係」を指します。お互いを信じて行動できるため、無駄な疑念や不信が発生せず、ゴールまで最短でたどり着くことが出来ます。
信頼がない関係では、組織に不要な『疑念』が生じやすくなります。疑念とは「その指示はあっているのか」「そのセリフには何か裏があるのではないか」という相手への疑いです。
疑いを持つ相手からの指示は、即実践に移せない、スタート時期が遅れるなど無駄な時間が発生します。従って、常日頃から信頼関係を築くことは、組織にとって重要です。
信頼構築のための5つの要素
信頼を得るためのすべての要素は、米国の心理学者ロバート・チャルディーニの著書「影響力の武器~なぜ、人は動かされるのか」のなかで、網羅されています。
『専門性』『返報性』『一貫性とコミットメント』『人的魅力』『権威』の5つの要素を把握することで、誰でも信頼を獲得できます。
1.専門性
信頼を得るための第一の要素は、専門的な知識やスキルを持つことです。成功するのに重要な事実を知っていたり、顧客や市場を語れることが重要です。
そして知識や知恵を持っているだけではなく、行動や結果につながるように周囲に語れる言語化力をもつ人こそが、専門性が高く信頼を獲得できる人です。
【専門性のチェックポイント】 ・専門性を発揮して語れているか ・週単位で自分の成長を実感できているか ・社内外問わず専門性の高さを評価してもらえているか ・専門性あるネットワークを社内外に構築できているか ・議論時に感情的にならずに納得感を抱かせているか |
2.返報性
返報性は「受けた恩は返したくなる」という人間の心理です。相手に対して親切や恩恵を与えると、信頼で答えてくれやすくなります。
部下の課題や悩みを解決したり、部下の成長に本気になってフィードバックを与えるなど、当たり前のことを徹底すれば返報性が働きます。
【返報性のチェックポイント】 ・相手への関心を持てているか ・迅速な賞賛、他者への尊敬を行動で示せているか ・部下の課題や悩みに対して耳を傾け助言する時間をとれているか |
3.一貫性
信頼を得るには、言葉や行動に一貫性を持たせることが重要です。ブレない姿勢を示すことで、「この人は信頼できる」と思われます。
一貫性は、短期間で築けるものではなく、日々の積み重ねによって生まれます。言動一致を心がけ、迷わず進む一貫性の高い姿を見せ続けて信頼を築いていきましょう。
【一貫性のチェックポイント】 ・言行一致、有言実行が果たせているか ・自分が大切にしているコトを伝え続けているか ・約束を守れているか、約束を忘れることはないか |
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ちなみに「意見がコロコロ変わる」ことは悪いことではありません。例えば目標達成するために、昨日言った事を今日ひっくり返すのはOK。 大切なのは目指している目標に対して、軸ブレせずに部下を導けているか否かです。 |
4.人的魅力
人的魅力は、多様な人材から信頼を得るために欠かせない要素です。誠実、勇気、正義、勤勉、共感、マナー、モラルといった人格主義を大切にすることで魅力は磨かれます。
逆に、人的魅力を損なう行為は、陰口や不満を撒き散らすことです。ポジティブに振る舞い、誰に対しても誠実に向き合う自分で在り続けましょう。
【人的魅力のチェックポイント】 ・礼儀とモラルを大切にできているか ・見返りを求めず与え続けていることが出来ているか ・誠実であり嘘や陰口を良しとしない文化を好むか |
5.権威
権威とは、尊敬と恐れの2種を兼ね備えている言葉です。「あの人の言うことは正しい(正しそう)」といった強制力が働くちからを、権威と呼びます。
権威は、外見や周囲の評価だけでもつくれることが大きなポイントです。
- 1.外見(制服、髪型、表情、姿勢等)
- 2.付き合っている人間(専門性の高い人物と友達等)
- 3.評価(あの方が〇〇と言っていた)
- 4.地位(代表取締役、部長等)
- 5.実績(××コンテスト金賞、●●全国1位等、資格)
手軽に権威を持てるのは、「外見」と「付き合っている人間」です。権威性を持つためにも、意識的に見直しを行いましょう。
【権威性が高いか否かのチェックポイント】 ・チームを超えて影響力を発揮できているか ・見た目や雰囲気を良くする努力を行えているか ・社内的に地位のある人物と交流を持てているか ・社会的に地位のある人物と交流を持てているか ・権威あるコミュニティに参加したことがあるか |
信頼関係を築くことで得られるメリット
信頼がもたらすメリット
- ・疑念が生じないので速く動く
- ・前向きに動けるので成果が出やすい
- ・意見を尊重しやすくなり判断が迅速化する
- ・誤解や齟齬が生じにくいためトラブルが減る
信頼関係があれば、すべての仕事はスムーズに進み、成果が出やすくなります。また、信頼関係があることで「関係の質」が高まることからも、結果を求めるのであれば信頼を育むことが重要です。
成功の循環モデル
成功の循環モデルとは、信頼できる人間関係は成果の向上に直結することとイコールであると、ダニエル・キム教授が提唱した組織成長のフレームです。
信頼関係をベースとする「関係の質」が高くなると、自然と考え方が生産的かつ前向きになり「思考の質」が上がります。思考の質が高まれば「行動の質」が高まり、「結果の質」への繋がります。
信頼関係を築けていないことのリスク
信頼がない組織のリスク
- ・疑念が生じて動き出しが遅くなる
- ・ネガティブ思考になりやすく成果が出づらい
- ・誤解が生じやすいのでトラブルに繋がる
信頼関係がないと、仕事に取り掛かるまでに時間がかかり、質問もしにくいことから齟齬も生まれやすいので、成果が出づらくなります。
結果を出すことは大前提
信頼関係を築くための5つの要素、これら全ての要素を持っていたとしても、結果を出せない上司は最終的に部下に見限られてしまいます。
5つの要素に気をつけながらも、結果を出すことに心血を注いで信頼を獲得しましょう。
また、「人のせいにしない」「嘘をつかない」「自分も成長する」などビジネスマンとして当たり前のことも、当然に気をつけなければ信頼を失うので注意しましょう。
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