主体性をもつ部下の育て方
自発的な行動や、主体性を持たない部下や後輩に、ジレンマを抱えているマネ-ジャーは非常に多いです。チームメンバーの主体性を引き上げるためのコツを紹介します。
主体性とは
主体性とは、自ら課題・原因・解決策を考え実行し、影響を及ぼす行為を指します。
似た言葉に『リーダーシップ』がありますが、リーダーシップは「主体性を持って周囲を治める」行為です。
メンバー全員がリーダーシップを持っていれば、確実に事業は成功します。そのリーダーシップのベースが主体性であり、育成によって伸ばすことが可能です。
外発的動機づけ<内発的動機づけ
主体性を高めるためにまず抑えるべきポイントが「内発的動機付け」です。
ポジションを与えたり、飲みに行くなど外発的な働きかけで主体性の発揮を試みるマネージャーは多いですが、その効果は長続きしません。
相手の内側から「芽生える」ようにして主体性を発揮させるためにはどうするか、それにフォーカスして育成プランを考えましょう。
主体性発揮にむけた3つの育成要点
1.意見が言える環境を構築【心理的安全性の担保】
「主体性をもってほしい」「自ら発言し、行動を起こしてほしい」と願うのであれば、部下が率先して動けたり、発言できる環境を用意しているかどうかを考えましょう。
心理的安全性(サイコロジカル セーフティ/psychological safety)の担保とは、職場で自分の考えをさらけ出しても、他者の反応に怯えたり羞恥心を感じることがない=人間関係を損なわないと思える雰囲気があるかどうかを指します。
グーグル社の約4年にわたる『プロジェクト アリストテレス(Project Aristotle)』により、「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要」と発表しています。発言を行うために、心理的安全性を高める必要があり、メンバー同士が深くつながる仕組みが必要です。
ストーリーテリングを仕組化する
ポジティブな協力関係を築くには、仕事だけではなく、個々人の物語の共有が欠かせません。
信頼を築く最も簡単な方法は、互いをもっと知る→自分の物語を話しあうことが重要です。他人の人生を知るほどにその人を嫌いになったり、疑う可能性は小さくなっていきます。
出来るマネジャーは、自分のストーリーを曝け出し、メンバーの様々なストーリーも把握しています。更にできるマネージャーは、チームに様々な人物のストーリーを共有することで、仕事以外での強固な絆を自然に作り、心理的安全性を高めます。
助言プロセスを意識する
改めて考えてほしいのは、あなたと部下のレベルの差。圧倒的な開きがあるのではないでしょうか。その差は一朝一夕で埋まるようなわけもなく、有能者が歩み寄って成長を手助けしてやらなくてはいけません。
発言を促したいのであれば、助言を常に行い、周囲が聞き入れやすいような意見が言えるように予め仕込む努力も重要です。
2.意見を言わなくて良い会議に参加させる
意見が言いにくいのではなく、そもそも意見が思いつかないメンバーに対しては、思い切って幹部層のみのミーティングに参加させましょう。「聞くだけでも大丈夫だから」という前提のもとで同席してもらいます。
上層部の会話を聞くことで、「こういう会話を行っているんだ」「発言するときはこんな根拠を持つんだ」「結構ふざけて大丈夫なんだな」というリアルな体験を積ませることが出来ます。
雰囲気をつかませることが出来れば、上司がいない場面で真似事で発言できるようになり、その成功体験が主体性を育むことにつながります。
3.自信が積み重なる環境をつくる
主体的に発言や行動できない理由の大半は「自分なんかが発言しても役にたてない」「この意見は言わない方がよさそうだ」といった自信のなさからきています。
主体性育成では、自信構築のプロセスを考えることも重要です。またポジティブフィードバックなどで、成長やできるようになったことを振り返る機会を設けて自信を付けさせましょう。
自信構築の5つのタイミング
- 目標を達成させたとき、成果を出したとき
- 誰かにほめられた時
- 誰かが喜び、自分が役に立ったと実感したとき
- 自分への約束を守った時
- 誰かに好かれたとき
自信が構築できるポイントは大きく5つあります。この5つのタイミングで承認する、もしくは褒める事で、少しづつ自信をつけてもらえます。
小さな目標設定が大切
自信を構築させるための5つのポイントは、実は「適切な目標設定とフィードバック」で全て満たすことが出来ます。
小さな成功体験を断続的に経験させることで、自信が積み重なっていき、その自信が主体性の発揮につながります。
「以前よりスピーディーに行動できるようになった」「今まで出来なかった事が出来るようになった」「昨日知らなかった言葉を今日知った」そんな小さな変化を感じ取ってもらえるような、段階を踏んだ目標を設定してあげましょう。
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