正常性バイアスと認知バイアス【抑えておきたい心理学】

バイアス

バイアスとは、自分にとってマイナスとなる情報を脳が勝手に避ける思考の偏りのことです。先入観や偏見から認識が歪んでしまい、正常な判断ができなくなってしまいます。

特に、「正常性バイアス」と「認知バイアス」は社会人が陥りがちな思考な罠なので事前に学び、対策しておきましょう。

正常性バイアスとは

自分は関係ないと思い込む心理学

正常性バイアスは、自分にとってマイナスになる情報をできるだけ避けて、いつもの自分であろうと考える心理です。

たとえば、コロナなど予期しない事態に直面した時、「自分は大丈夫」「私は関係ない」と考えて事象を過小評価してしまいます。

自身を正常に保つための防衛本能

自分にとって都合の良い解釈に偏る正常性バイアスは、人間が自分を守るための防衛本能でもあります。できるだけパニックにならず、平静でいるための心理学でもあると言えます。

脳みその癖なので、正常性バイアスにかかること自体は普通であり、「これはバイアスかかって考えてるかもな」と客観的見地にたって思考を振り返れるか否かが重要です。

自身を客観的に見ること(メタ認知と呼びます)によって、過度に楽観したり、恐怖に縛られることがすくなくなるので、正常性バイアスの意味と心理について把握しておくこと自体が非常に有意義です。

他者に寛容になり自己嫌悪を避けられる

災害時や大病流行時には、社内はもちろんニュースサイトやTwitterなどで無用な喧嘩がいつまでも繰り返されます。認知バイアスさえ知っていれば、中立な思考にたてるため、他者に寛容になれます。

そして、他者に寛容になれると、人間は自分に対しても寛容になる習性をもっているため、いわゆる「優しい世界」を切り開いていくことができます。

認知バイアスとは

合理的な判断ができない心理学

重要な物事を判断したり決定したりする際に、人はこれまでの習慣や固定観念、先入観などに引きずられて、まったく合理的ではない判断をしてしまうことがよくあります。

それを心理学では「認知バイアス」と呼びます。認知バイアスも市場バイアス同様に、「この考え方は、バイアスかかってないか」と考える自己客観的分析が必要です。

後知恵バイアスは恐ろしい

後知恵バイアスは、だれしも陥りがちな心理状態であり、なによりも災害時には恐ろしい口論に導きがちな認知バイアスです。

後知恵バイアスとは、何か物事が起こった後に「そうだと思った」「だから俺はこう言ってたんだ」と、まるで自分が予言者かのごとく振舞う人間の心理的傾向です。

結果を知ってから後付けで考えた意見も足して「ほら!やっぱりそうだと思った!」と鬼の首でも獲ったかのようにふるまう人、僕たちの周りにもいますよね。

後知恵バイアスによって行動者が責められる

行動するリーダーだけが批判される

後知恵バイアスは、結果的にマイナスな意思決定をした人を不当に過小評価してしまいます。

大きな判断が決定されるとき、そこには僕たちが知らない情報や見えないプロセスが介在しています。それにも関わらず、ひとは想像することも予想することもなく、結果的に凶となった判断に対して、遠慮なく「無能!」と断罪を始めます。

これは、後知恵バイアスの中でも「成果バイアス」と呼ばれ、行動者を殺す心理学です。

結果論だけで物事や人の判断を評価する社会は、絶対的に自分たちを苦しめることになります。結果論だけで評価を定められるということは、リスクを取って大胆な決断や行動をすることを誰もがためらうようになるからです。

有事の際には、リスクを取って大胆な行動をするべき時があり、それはリーダーしか判断できません。しかし、結果論で断罪する社会であれば、勇気を持って行動を起こしてくれる人がいなくなってしまいます。

だから言ったじゃん!が人を殺す

COVID-19などのパンデミックによって感染者が急増すると、「だから最初から言ってたんだ!もっと早く対応をしていなかったらこうなったんだ」という声がどんどん増えていきます。

次に起こるのは個人攻撃です。政府や企業、団体などはもちろんですが、個人は特定しやすく攻撃しやすいため、スケープゴート(生贄)として血祭りにあげられます。

失敗した人に猛省を促そうと責めたてれば責めたてるほど、最終的には誰も行動を変えることができなくなってしまうというパラドックス(逆説・矛盾)が生じてしまうのです。

バイアスに支配されないマネジメント

バイアスで評価しないマネジメント

今の自分の考えや感情にはバイアスがかかってるな、ということを常に認識しながらマネジメントを行いましょう。

評価を結果でくだすこと自体は間違っていませんが、挑戦したことや意思決定までのプロセスを把握しなければ、挑戦するチームは作れなくなります。

また、結果論だけで判断していることを自覚できれば、人を責め立てることもなくなり、人に責められても耐性をもつことが出来ます。

挑戦者は褒めたたえられる人であるべき

バイアスの存在を知って入れば、ひとへの無用な批評や衝突を防げるようになります。ひとに寛容になり、勇気をもって挑戦したひとを賞賛できるような組織をつくる第一歩にもなります。

人は想像力を手に入れて進化してきました。他者への想像をできるだけ善意に行い、結果論で責めることはやめて、むしろチャレンジを励ましてくれるチームを目指しましょう。

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