賃貸は代理契約できる?本人以外が借りる注意点やデメリットとは?

代理契約とは?のアイキャッチ

賃貸の代理契約とは?リスクはある?
入居者とは別の人でも部屋は借りられる?

新生活のための部屋探しはワクワクしますよね。充実した設備や綺麗な内装を見ていると、他の人に取られる前に申し込みたくなります。

しかし、賃貸物件を借りるためには入居審査に通る必要があります。収入が足りなかったり、年齢や職業が原因で自分の名義だとどうしても審査に落ちてしまうことも…。

そこで当記事では、入居者とは別の人に部屋を借りてもらうテクニック「代理契約」について、注意点やデメリットまで徹底解説しています!ぜひ参考にしてください。

監修 舟木 啓太
宅地建物取引士
行政書士試験合格者

不動産屋の経験は5年以上。累計2000件を超える契約業務に携わった実績がある。単身・カップル・ファミリーなど幅広い世帯の部屋探しを専門知識でサポート。宅建士の資格を活かして、審査から入居開始後の不安まで解消できるのが強み。


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賃貸物件は代理契約できる

賃貸の代理契約とは契約者と入居者が異なる契約のこと

賃貸の代理契約

賃貸の代理契約とは、入居者とは別の人が部屋を契約することです。法律上の「代理」とは内容が異なります。

図のように、未成年や学生の子どもに代わって、親が部屋を借りるパターンが多いです。代理契約なら、自分の名義だと入居審査に通るのが難しい状況でも部屋が借りられます。

大家さんの許可がある場合のみ使える手段です。代理契約ではなく「親に連帯保証人になってもらいたい」と言われる物件も多いです。

▶賃貸の入居審査について詳しくはこちら

代理契約が必要になる人の特徴

  • 未成年
  • 学生(成人含む)
  • 無職
  • 非正規雇用などで収入が不安定
  • 勤続年数が3年未満
  • 高収入でも審査で不利な職業(水商売など)
  • 借金でブラックリスト
  • 自分名義で何度も入居審査に落ちた

表の特徴が1つでも当てはまる人は、入居審査のハードルが高いです。勤続年数が長い正社員や公務員を除いて、家賃の支払い能力は厳しくチェックされます。

自分の名義だと審査に通らなくても、代理契約ができれば大家さんに「親名義なら貸しても良い」と判断してもらえる場合があります。

収入の安定した両親や兄弟姉妹に、代理契約者か連帯保証人になってもらえるように事前にお願いしておきましょう。

▶審査に落ちる人の特徴の解説はこちら

代理契約者は収入の安定した親族が望ましい

代理契約者になれる人の特徴

  • 3親等以内の親族
  • 安定した収入がある現役世代
  • 勤続年数が3年以上
  • 月の手取り3分の1に家賃が収まる
  • 信用情報に傷が無い(信販チェックがある場合)
  • 職業が反社会的でない

代理契約者は両親(1親等)や兄弟姉妹(2親等)などの近い関係が望ましいです。関係が遠いほど審査に落ちやすく、申し込みを受付してもらえないこともあります。

審査の基準は、自分で部屋を借りるときとほぼ同じです。家賃が代理契約者の月の手取り3分の1に収まるなら、多くの物件で支払い能力を認めてもらえます。

代理契約者の勤続年数が1~2年と短かったり、借金やカードの滞納で「信用情報」に傷があると、代理契約でも審査には通りにくいです。

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代理契約での部屋探しの流れは?

代理契約の部屋探しの流れ8ステップ

  1. 不動産屋で部屋探し
  2. 入居申込・審査書類の提出
  3. 入居審査開始
  4. 審査通過・家賃発生日の確定
  5. 初期費用の支払い
  6. 重要事項説明・契約手続き
  7. 鍵の受け取り
  8. 入居開始

①不動産屋で部屋探し

不動産屋を選んでいる人

まずは部屋探しです。不動産屋に行けば予算内で希望条件に合う物件を紹介してもらえます。

不動産屋には代理契約者と入居者どちらも一緒に行くと、入居申込などの手続きがスムーズです。未成年は代理契約者と一緒に行きましょう。

候補を2~3件に絞れたら部屋の内見に行きます。遠方で行くのが大変なら、部屋探しや内見をオンラインで対応してもらえるように相談しておくと良いです。

②入居申込・審査書類の提出

入居申込~審査に必要な書類

  • 代理契約者の本人確認書類
  • 代理契約者の収入証明書
  • 入居者の本人確認書類

本人確認書類と収入証明書があれば、ほとんどの物件で審査まで進められます。本人確認書類は、運転免許証と健康保険証をセットで求められることが多いです。

収入証明書は、職業によって種類が異なります。会社員は直近の源泉徴収票か給与明細3ヶ月分、自営業は確定申告書などです。

審査書類は不動産屋に早めに確認しておきましょう。揃わないと2~3日以内に提出が必要で、揃うまで物件を確保できないこともあります。

申込書は空欄がないように記入する

申し込みに必要な代理契約者の情報

  • 氏名、生年月日、住所、電話番号
  • 年収、月収、勤め先情報
  • 緊急連絡先の個人情報 など

申し込みに必要な入居者の情報

  • 氏名、生年月日、住所、電話番号
  • 年収、月収、勤め先情報
  • 引っ越し理由 など

「入居申込書」に記入する情報は、空欄が多いと審査に進めません。必要な情報は事前に確認してメモを取っておくと良いです。

代理契約者と入居者とは別に、何かあったときの「緊急連絡先」が必要です。緊急連絡先は通常、氏名・住所・生年月日・携帯電話番号がわかれば大丈夫です。

父が代理契約者、母が緊急連絡先、子どもが入居者の形が一般的です。

③入居審査開始

入居審査3ステップと重視される項目
①保証会社の審査 家賃の支払い能力は十分か
②管理会社の審査 入居中に問題が起きないか
③大家さんの審査 本当に貸しても大丈夫か

申込書の空欄がなくなり書類がすべて揃ったら、入居審査がスタートします。審査の関係者には「家賃滞納の心配がないか」「入居中に問題が起きないか」などをチェックされます。

代理契約者には、保証会社や管理会社から本人確認の電話が入ります。また、追加で書類の提出を求められる場合があるので、1つひとつ対応してもらいましょう。

申込後は基本的に、不動産屋と代理契約者が連絡を取って手続きを進めていきます。書類の提出は入居者が間に入って対応しても大丈夫です。

保証会社さえ通れば借りられる部屋は多い

保証会社とは、もし家賃の滞納があったら立て替えてくれる会社のことです。

大家さんにとって滞納リスクが大幅に減らせるので、保証会社さえ通れば入居審査には高確率で通してもらえます。

▶審査が甘い保証会社7選はこちら

④審査通過・家賃発生日の確定

審査開始から3~7日で結果が出ます。関係者全員に「貸しても問題ない」と判断してもらえれば、不動産屋から審査通過の連絡が来ます。

家賃発生日(契約開始日)を伝えると、契約書類の作成に進みます。家賃発生日は「○月○日~○月○日の間で決めてください」と指定されます。

審査に落ちたときも必ず連絡があります。2~3日動きがなければ、不動産屋に経過を確認してみてください。

⑤初期費用の支払い

メールなどで初期費用の請求書が届くので、期日までに払いましょう。物件によっては2~3日以内に支払いが必要です。

支払い方法は銀行振込が一般的です。クレジットカードで払いたいときは、対応していない場合があるので早めに伝えておくと良いです。

代理契約者と入居者どちらが払っても良いですが、振込名義を指定される場合があります。ATMなどで振込名義を変更して払うときは、カタカナ入力を間違えないようにしてください。

⑥重要事項説明・契約手続き

契約手続き

重要事項説明とは、契約前に宅地建物取引士から契約の注意点の説明を受けることです。契約手続きと同じ日におこなうケースが多いです。

重要事項説明と契約手続きの所要時間は、1時間~1時間半です。代理契約者が、不動産屋に行って手続きします。必要な持ち物は後ほど詳しく解説します。

忙しかったり、住まいが遠方で行けないときは、オンラインで「IT重説」を受ければ郵送での契約手続きもできます。

⑦鍵の受け取り

鍵の受け取りは、代理契約者と入居者どちらでも可能です。鍵を受け取る人の印鑑(インク浸透印以外)が必要なので、忘れないように気を付けてください。

最短で鍵を受け取れるのは家賃発生日前日の夕方以降の物件が多いです。部屋に入れるのは、どの物件でも家賃発生日以降です。

鍵がもらえる日程のルールや定休日は不動産屋によって違います。引越しのスケジュールに支障が出ないように日程調整しましょう。

⑧入居開始

家賃発生日以降は、荷物や家具を搬入して生活が始められます。電気・水道・ガスなどのライフラインの手続きは、引越しの1週間前には済ませておきましょう。

ライフラインの契約は、代理契約者と入居者どちらの名義にするか自分で選べます。支払い方法や名義についてあらかじめ相談しておくとスムーズです。

ガスは、開栓の立会いを予約していないと入居当日にお湯が使えないので要注意です。

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代理契約するときの5つの注意点

  1. 無断での代理契約はできない
  2. 家賃の引き落とし口座を指定される場合がある
  3. 滞納すると代理契約者の傷になる
  4. 更新や退去も代理契約者が対応する
  5. 連帯保証人が必要になる場合がある

①無断での代理契約はできない

代理契約したいときは、必ず不動産屋に相談してください。正直に伝えると選択肢が減ると考え、黙って代理契約の形を取るのはNGです。

無断で契約者と違う人が住んでいるのがバレると、契約違反を追及されて追い出されたり、高額な違約金を請求されるリスクがあります。

②家賃の引き落とし口座を指定される場合がある

代理契約では、家賃の引き落とし口座を代理契約者のもので指定される場合があります。

契約だけでなく家賃も対応してもらう必要があると、あまり仲が良くない場合は大変です。入居者が家賃を負担したいなら、家賃分を代理契約者に送金する手間も発生します。

早めに交渉すれば支払い方法を変更できることもあります。家賃を負担するのが誰なのかと支払方法は、申し込むときに不動産屋に伝えておきましょう。

③滞納すると代理契約者の傷になる

家賃が入居者の口座からの引き落としでも、滞納は代理契約者の責任になります。代理契約者は、賃貸契約を結んでいる本人だからです。

入居者が家賃を払うのをうっかり忘れると、代理契約者の信用情報に傷がついたり、保証会社間のデータベースに滞納情報が残ったりするリスクがあります。

催促の連絡も代理契約者に行きます。家賃をどちらが払うのかは明確にして、迷惑をかけないように気を付けましょう。

④更新や退去も代理契約者が対応する

更新や退去などの手続きには代理契約者の協力が必要です。また、退去時に高額な原状回復費用を請求された場合、入居者が払いたくなくても代理契約者に請求されます。

代理契約者と問題なく連絡がとれて、部屋を大切に使えるなら心配しすぎる必要はありません。

⑤連帯保証人が必要になる場合がある

代理契約でも、物件によっては連帯保証人を求められます。父が代理契約者、母が連帯保証人、子どもが入居者といった契約関係もあり得ます。

物件によって審査基準や大家さんの考え方は異なります。条件を満たせず審査に落ちたときは探し直す時間が必要です。

審査が心配なら、不動産屋に少しでも早めに相談して、希望に合ったスムーズに借りられる部屋を見つけてもらいましょう。

代理契約に必要な書類は通常の賃貸契約と特に変わらない

代理契約者の必要書類

  • 住民票の写し(取得3ヶ月以内の原本)
  • 印鑑登録証明書(取得3ヶ月以内の原本)
  • 身分証(免許証、保険証、パスポートなど)
  • 収入証明書(源泉徴収票など)
  • 銀行届出印+口座内容のわかるもの(通帳など)
  • 実印(印鑑登録の印鑑)
  • 認印(銀行届出印など)

一般的な必要書類は「審査時に提出した書類のコピー」「住民票」「印鑑」です。物件によっては実印と印鑑登録証明書も求められます。

住民票を役所に取りに行ったり、場合によっては印鑑登録の手続きが必要です。審査に通過した段階で必要書類を確認して、早めに準備してもらいましょう。

家賃を入居者の口座から引き落とせる場合、銀行届出印や口座内容のわかるものは不要です。

入居者の必要書類

  • 住民票の写し(取得3ヶ月以内の原本)
  • 身分証(免許証、保険証、パスポートなど)
  • 銀行届出印+口座内容のわかるもの(通帳など)
  • 認印(銀行届出印など)

住民票などの役所で取得するものが必要な場合、取得3ヶ月以内のものを求められます。用意が難しい事情があれば、部屋が決まった時点で相談してください。

契約者と入居者の住所が違うときは必要書類を揃えるのが大変です。不動産屋の案内に沿って郵送などで揃えましょう。

連帯保証人の必要書類

  • 印鑑登録証明書(取得3ヶ月以内の原本)
  • 身分証(免許証、保険証、パスポートなど)
  • 実印(印鑑登録の印鑑)

代理契約では稀ですが、連帯保証人を立てるときは連帯保証人の実印が必要になります。

連帯保証人の要否は審査中にわかるので、連帯保証人が必要とわかったら、引き受けてくれる人に早めに伝えましょう。

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契約手続きを代理人に頼むケースもある

契約手続きを代理人に依頼する図解

大家さんの許可があれば「委任状」を持参した代理人に手続きだけ依頼することもできます。紹介してきた代理契約とは異なり、契約者と入居者は同じパターンです。

代理人に手続きしてもらう方法はあまり採用されません。委任状や契約者の必要書類をあらかじめ揃えておかないと、不備が多く鍵が渡せないトラブルが起きるからです。

もし代理人で手続きするような事態が起きたら、慎重にスケジュールを組まないといけないので覚えておいてください。

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賃貸の代理契約に関するよくある質問

  1. 代理契約のデメリットは?
  2. 代理契約でも入居者の収入は審査される?
  3. 代理契約で入居後に名義変更できる?
  4. 代理契約者の口座でしか引き落しできないときの対処法は?
  5. 代理契約者は兄弟姉妹でも良い?
  6. 代理契約者は彼氏でも可能?
  7. 友人しか頼れないときはどうする?

Q.代理契約のデメリットは?

A.物件が限られるのが主なデメリットです。

代理契約のデメリットまとめ

  • 物件によっては代理契約ができない
  • 親族に部屋探しに口出しされやすい
  • 引き落とし口座を指定される場合がある
  • 家賃を滞納すると代理契約者の傷になる
  • 揉め事があると代理契約者に迷惑がかかる
  • 契約、更新、退去に代理契約者の協力が必要
  • 審査次第で連帯保証人も必要

代理契約のデメリットは、代理契約者との相談次第で解決できる内容がほとんどです。部屋の選択肢が増えるメリットが大きいので、審査が心配な人にとって有効な手段です。

入居中や退去時に代理契約者に迷惑をかけないように、家賃滞納せずマナーを守って暮らす必要はあります。

物件によって違う部分も大きいので、不動産屋の説明をしっかり聞いて手続きを進めましょう。

Q.代理契約でも入居者の収入は審査される?

A.基本的に代理契約者の収入で審査されます。

入居申込書に入居者の収入を書く欄があったとしても、基本的に代理契約者の収入で審査がおこなわれます。

ただ、入居者の年齢や状況によっては大家さんや管理会社の審査に影響します。成人していて無職だと審査のハードルは高いです。

入居者が無収入でも、学生や就職活動中といった事情があれば審査には影響しにくいです。

Q.代理契約で入居後に名義変更できる?

A.名義変更の相談ができる物件が多いです。

入居後に就職や転職、昇給などで自分の名義に変えられそうな場合、名義変更の相談が可能です。

再審査があるのと、名義変更手数料が3万円~家賃1ヶ月分ほどかかることが多いです。名義変更のルールは管理会社ごとに違うので、契約前に確認しておくと良いです。

Q.代理契約者の口座でしか引き落しできないときの対処法は?

A.代理契約者に立て替えてもらいましょう。

入居者から代理契約者には、毎月「定額自動送金サービス」で返済すると良いです。

手数料は銀行によって異なり、同一支店での送金なら、手数料が100円ほどに抑えられるケースも多いです。

Q.代理契約者は兄弟姉妹でも良い?

A.兄弟姉妹でも代理契約者になれます。

代理契約者が兄弟姉妹の場合、関係(親等)が近い両親の名義よりは厳しく審査されやすいです。

両親が現役世代なら、なぜ父親名義でないかなどの事情を質問されます。

「親は年金暮らし」「不仲で疎遠」といった事情が説明できれば、兄弟姉妹でも受付してもらえる可能性が上がります。

Q.代理契約者は彼氏でも可能?

A.彼氏の名義で代理契約するのは難しいです。

彼氏の名義で代理契約を申し込むのは、断られる可能性が高いです。なぜ一緒に住まないのかを疑問視されます。

大家さんから許可をもらえないと代理契約はできません。大家さんに交渉するのは不動産屋なので、まずは気軽に相談してみてください。

経験豊富な不動産屋は、人それぞれの事情に応じた最適な部屋の借り方や、入居審査についてアドバイスをしてくれます。

Q.友人しか頼れないときはどうする?

A.緊急連絡先になってもらいましょう。

友人は審査では関係が遠いと扱われるので、代理契約をしてもらうのは難しいです。緊急連絡先なら、友人でも受付してもらえる場合があります。代理契約と同様、物件は限られます。

入居審査の難易度は物件ごとに大きく異なります。使える保証会社が違ったり、大家さんの考え方もさまざまだからです。

少しでも不安要素があるなら、審査基準に詳しい不動産屋に、通りやすい部屋に絞って紹介してもらいましょう。

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