言語化とは?言語化能力を鍛えるトレーニング方法
「考えや意見がうまく相手に伝わらない。」
「アイデアが浮かんでも提案できない。」
「現場の状況を正確に報告できない。」
言語化能力は、自分の考えや状況を相手に的確に伝えるために必要なスキルです。しかし、頭の中にある情報を、相手にわかりやすく伝えるのは難しい...
そこで今回は、言語化についての理解を深め、どうすれば言語化能力を鍛えられるかを解説します。
言語化が苦手なのは、空気感を重んじる日本人なら当たり前です。自分なりのペースで、言語化能力を高めていきましょう。
言語化とは
言語化能力
- 直感的なものを伝達可能な表現にする
- 感覚的なものを論理的に整理する
- 抽象と具体を適切に行き来する
言語化とは、頭の中で考えている情報を言葉に変換し、相手が理解できるように表現することです。言語化が上手にできれば対話や会議がスムーズに進み、他者との理解を深められます。
どんなに素晴らしい意見やアイデアがあっても、言葉にして伝えられなければ意味がありません。言語化能力を高めれば、ビジネスだけでなく自己成長にも大きく繋がるなどメリットが豊富です。
言語化はなぜ必要?5つのメリット
1.目的や目標を達成しやすくなる
言語化は、夢や目標を達成するために重要です。達成すべきゴールを明確にすればするほど、具体的な行動計画やKPIを設定できるようになります。
脳科学的にも、目標達成に言語化は大切です。ハーバード大学の研究では目標を明確化していた人は、していなかった人に比べて年収が平均10倍になっていたデータを公開しています。
脳は具体化した情報に対して敏感になり、意識を集中するようになっているため、目的や目標はもちろん、プロセスも言語化していきましょう。
2.意思決定が迅速化する
言語化が上手になれば、他者との意思疎通が円滑になります。自信をもって意見を伝えやすくなるため、心理的安全性が担保しやすくなることが利点です。
また、言語化できる人が増えれば、言語化が苦手な人のフォローがしやすくなり、意見を言えなかった人との関係性も強化されて理解度が増します。
「意見が出てきやすくなる」「意見を理解しやすくなる」のスパイラルが循環するため、当然のように意思決定も速くなっていきます。
3.思考整理できて課題解決に役立つ
言語化能力は、自分の考えや状況を分類し、相手に伝える力です。従って、情報の分類や表現を繰り返す言語化強者は、どんどん思考整理が速くなっていきます。
思考整理が速ければ、課題にたどり着くまのも速く、課題の言語化も行うため、解決策までも具体的になりアウトプットできます。
4.共通認識を形成できる
組織やチームは、なんとなくのイメージや文化で動いていることが多いです。その「なんとなく」を言語化することで、みんなが同じ方向を向き、誤解の防止に繋がります。
特に中途採用が中心の組織は、経験やバックグランドなどが様々です。ベクトルを合わせるためにも、普段の会話から言語化を意識することで共通認識を図っていきましょう。
5.学習と記憶を促進する
言語化は、学習にも有用です。学んだことを、自分なりに咀嚼して言語化することで情報の定着が促され、記憶に残りやすくなります。
さらに、言語化が上手になれば知識やノウハウを見える化できるようになり、再現性高いマニュアルや研修を作れるようになっていきます。
言語化能力が高い人の特徴
内容を吟味して具体化
言語化がうまい人は、伝え方よりも、伝える内容の取捨選択が上手です。言語化が苦手な人は、どのように伝えれば・・・と考えてしまいますが、伝え方より内容が大事です。
相手が知りたい情報や、自分が伝えたい情報を選び、まとめることが言語化の第一歩です。目的に合わない内容を伝えても意味がないので、まずは内容を吟味するべきです。
内容が吟味できたら、「PREP法」や「SDS法」などを用いて具体的にしましょう。具体的に内容が固まれば、相手も解像度高く話を聞くことができるようになります。
ホスピタリティを発揮して伝達
言語化能力で明らかに差がでるのは、他者への想像力です。伝わりやすい内容なのか、補足が必要なのか、背景情報を知っているかなど、聞き手への配慮が重要です。
また、比較や比喩などを用いたほうが良いかなど、相手が理解できるように表現することも大切です。聞き手によって伝え方を変化させられるのは、言語化上手な人の特徴です。
語彙力が高く適切に表現
言語化は、頭の中にあるモヤモヤを分類して、言葉にしていきます。ということは、語彙力があるほどにモヤモヤに対して適切な言葉を選ぶことが可能です。
言語化能力が高い人は、人の話を聞いたり、本を読むなどして日々語彙を高めています。ただ語彙を増やすだけでなく、習得した語彙を使い分け、相手によって表現を変えています。
語彙力の優先順位は低い
語彙が豊富であることは言語化能力を形成するうえでは、優先度は高くありません。相手に伝わるかどうかが重要なので、小学校までの語彙でも十分対応できます。
語彙より伝え方のほうが重要であり、伝え方より伝える内容の吟味のほうが大切です。さらに語彙は一朝一夕で身につくわけでもないので、地道に伸ばしてくくらいで十分です。
花井 大地 |
語彙力が不要な訳では無いっす。言語化に必要な要素だけど「伝える内容」「伝え方」よりは優先度が低いだけ。 |
言語化が苦手なのは当たり前
言語化が苦手なことは、ネガティブに思う必要はありません。日本では調和尊しとされる傾向が多く、非言語の空気感が重視されるため言語化の習慣がありません。
言語化が下手だと言われる特徴の「あれ」「それ」などの指示語を使っても、学生時代に厳しくされることはなかったはず。言語化を学ぶ機会がないので、できなくて当然です。
従って、「できなくて当然、逆に言えば伸びしろ!」の精神で言語化を鍛えていくことがおすすめです。
言語化が苦手な人への注意点
言語化で勘違いしがちなポイント
- 詳細まで伝えなくてOK
- 思考整理なんて最初はできない
- 言語化は苦手で当然!大丈夫大丈夫!
言語化を意識し始めると、どうしても全体をうまく話そうとしがちです。理解を得るために情報を漏らさず伝えようとすると、伝えるべき内容は伝わらず、相手の顔は「???」状態になります。
言語化が成功した状態とは、自分の言いたいことや、相手の目的にあった情報を的確に伝えられている状態です。伝えるべき内容はなにかを取捨選択したり、要約することに尽力しましょう。
また、言語化が苦手であれば思考整理の過程でつまづくことも多いです。
考えがまとまらず言語化できないのであれば、言語化上手な人に、自分の考えをバーーーっと話して、その思考を整理して言語化してもらうことなどサポートを頼みましょう。
言語化を鍛えるトレーニング方法
言語化を助ける「型」を使う
言語化は、情報伝達のフレームワーク=「型」を知っていれば恐れることはありません。型どおりに思考を整理すれば、自然に相手が情報を理解しやすい流れで言語化ができます。
特にPREP法は、いつどんなときでも使える型です。結論、理由、論拠をまとめればシチュエーション問わず有効なので、まずはPREP法を意識して言語化に取り組みましょう。
紙に書き出して取捨選択する
メモ書きで言語化を補助する3STEP
- 概要を全て書き出す
- 伝えたい内容を選ぶ
- 伝えたい内容に直結する情報に絞る
言語化能力が低いと思う場合は、メモなどに書き出すのがおすすめです。思考の整理が上手にできないから言語化できないだけの可能性が高く、書き出すだけで解決することが多いです。
会議などの議事録をとることもおすすめです。ひたすらに周囲が納得いく議事録を書くように努力すると、見違えたように言語化ができるようになります。
普段関わらない人と会話する
言語化は、意識してアウトプットするほどに上手になります。言語化の練習としてのアウトプット相手は「関わりの薄い人」がうってつけです。
例えば、自分と違う業界の人と話せば、前提のないところから会話が始まるため、否が応でも言葉の推敲が求められます。役職など、立場が違う人と話すことも言語化能力を鍛えるにはおすすめです。
言語化のトレーニングアプリを使う
「ブクログ」で要約を書くのは超おすすめ
言語化能力を磨く最良の方法は、文章を書くことです。口頭で伝えるよりも、文章で伝える難易度のほうが高いため、言語化能力が向上します。
ブクログは、本の内容を自分の好きなように読書メモできるアプリです。読んだことを要約したり、PREP法で書くことを習慣化してみましょう。
「Kindle」で無料本を読む
Kindleも、言語化のトレーニングにおすすめです。実は無料でかなりのビジネス本が読めるので、語彙力の強化やブクログとの併用で要約トレーニングもできます。
「Kindle Unlimited」(月額980円)に加入すれば、200万冊以上もの書籍が読み放題なので、月の飯代を1食我慢できるようであれば会員になるのもおすすめです。
「Evernote」で常にメモする
個人的にイチオシなのは、Evernoteです。メモをとるためのアプリですが、PCとスマホどちらとも連携することができて、いつ何時でもメモを見返せます。
普段の情報をEvernoteにメモし、時間があるときに要約したり、PREP法に書き直すことで言語化能力を高めることができます。
言語化を学べる本を読む
本の表紙 | 本のタイトルと概要 |
---|---|
瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。 ・メモ書きで言語化力を高める方法論がメイン ・ワークが多くて実践的 ・言語化の重要性がこれでもかと書いてある ※メモ書きで思考と感情の言語化をトレーニングする「ゼロ秒思考」とほぼ一緒 |
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「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全 ・言語化の手順が3STEPでわかりやすい ・伝え方のテンプレートも使いやすい ・会議やプレゼン、業務報告などの事例が豊富 |
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ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ ・情報の捨て方とまとめ方のテクニックが記載 ・わかりやすい!と言われる技術も満載 ・言う気=勇気など著者のコピーライティングが絶妙 |
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頭のいい人が話す前に考えていること ・話し方よりも聞き方が参考になる本 ・「人を動かす」ためのアウトプットが大切だと述べられている ・結論は何か?を意識して補足を考えることが肝要だと理解しやすい |
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まんがでわかる! 頭のいい説明「すぐできる」コツ ・説明上手になる良本 ・聞き手が聴きやすい順番などの整理方法が書かれている ・漫画なので普段読書しない人にもおすすめ |
言語化に初めて向き合うのであれば、本を読んで体系的に勉強するのもおすすめです。
言語化の本質は「人を動かす」
言語化ができるようになると、自分の考えや意見が人に伝わりやすくなります。そして、言語化ができる集団は、お互いの意見を更に深く言語化できて、理解しあえるようになります。
理解しあえるようになると、関係の質が強化され、人を動かしやすくなります。逆に言えば、人を動かすような立場にある方は、言語化能力を高める努力をするべきです。
まずは「言語化の型」を覚え、頭の中で考えている情報を型にハメて見える化することから、言語化のトレーニングを開始しましょう。
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