「恋愛体質」という言葉にあなたはどんなイメージを抱いているでしょうか?
・恋多き遊び人?
・理想と現実の区別がつかない人?
・熱しやすく冷めやすい人?
世間一般的には、「恋愛をしていないと退屈で仕方がなく、恋愛をしたらしたで長続きせず、ずっと同じ人と付き合っていられない人」というイメージを持っている人が多いようです。
そして僕もそのうちの一人でした。恋愛体質はあくまで一つの「個性」であり、そんな人をみては「節操のない人だなぁ」と傍観しているだけの人間でした。
しかし、この仕事をするようになり、何冊もの本を読み何人もの人の相談に乗っている中で、恋愛体質は「できるだけ早いうちに治した方がいい心の病気」だと考えるようになりました。
もちろん恋愛体質な全ての人に「今すぐ精神科に相談しに行け」と言いたいわけではありません。
ただ、「これは病気なのかもしれない」と考えることによって「是正すべきもの」「本来の健全な姿ではないもの」と自覚しやすくなると(これまでの経験上)考えているのです。
逆に「体質だから」とそのまま放っておくと、その先に「恋愛依存症」があることを知らずに、その依存から抜け出せなくなりかねないのです。
この記事では、恋愛体質な人の特徴を挙げながら、恋愛体質であることの危うさを解説していきます。
そして実際の相談例からどのように恋愛体質から抜け出すことができるようになるのかをお伝えします。
目次
いくつ当てはまる?恋愛体質な人の特徴
恋愛体質あるあるチェックリスト
早速ですが、あなたがどのくらい恋愛体質なのかを自覚してもらうために、チェックリストを作りました。
以下の項目に自分がいくつ当てはまるか数えてみてください。
◻︎略奪愛に燃えたことがある。あるいは実際に奪ったことがある。
◻︎追う側の恋愛は好きだが、追われる側の恋愛は楽しくない。
◻︎相手が自分を好きになった途端に冷めた気持ちになる。
◻︎普段出会わないような人(外国人やお金持ち・芸能人)との恋に憧れる。
◻︎「手の届きそうにない相手」こそ欲しくなってしまう。
◻︎ロミオとジュリエットよろしく、逆境があればあるほどに燃える。
◻︎惚れっぽい。「この人こそ運命の人!」と思ったことがある。
◻︎その割に、理想と違う一面を見せられるとすぐにがっかりする。
◻︎お姫様願望がある。女は愛されてナンボだと思う。
◻︎デートの食事はレストランで。サイゼリアや吉野家なんてあり得ない。
◻︎「平凡な幸せ」に抵抗がある。常に刺激を求めている。
◻︎友人に「いい年なんだからいい加減現実見なさいよ」と言われたことがある。
あなたはいくつ当てはまりましたか?このうち1つでも当てはまったなら、あなたは「恋愛体質である」と言えます。
そうです。たった一つでもです。「こんなの全ての女性が当てはまるでしょう!?」と思ったのなら危険信号。
恋愛体質ではない人は、このチェックリスト全てにハッキリとNOと言えるのです。
恋愛体質は「恋愛依存症」の一つ
ここで恋愛依存症について少し解説しておきましょう。
恋愛依存症にはいくつかの種類がありますが、重たい例で言えば
・「モラハラやDV・ダメ男(女)製造機などから抜け出せない」共依存
・逆に「モラハラやDV・ダメ男(女)になってしまう」回避依存
・「娯楽のように複数の人とのセックスに溺れてしまう」セックス依存
などがあります。
その中でも恋愛体質は、「激情やドラマ性のある波瀾万丈な恋愛を求める」ロマンス依存の一つの特徴として分類されています。(※)
ロマンス依存は他の依存症に比べると、本人を苦しめるレベルが低いために「依存症」だと認識されにくいのですが、それゆえにもっとも身近な依存症だとも言えます。
もちろん恋愛体質な人の中にも、恋愛体質”っぽい”人からガッツリ恋愛体質な人までおり、一概に全ての人をロマンス依存症だとは決めつけられません。
しかしどんな人であれ「恋愛依存症に片足を突っ込んでいる」状態には変わりがありません。まずはそのことだけでも理解しておいてもらいたいなと思います。
(※)参考:伊藤明『恋愛依存症』(実業之日本社)より
恋愛体質はモテる?2つのパターンから見える中毒性とは
恋愛体質には、ドラマ型とゲーム攻略型の2つのパターンがあります。僕が実際に相談に乗った人たちの事例からご紹介しましょう。
ドラマ型の恋愛体質
智子(28)はごく一般的なOLだ。中流家庭に育ち、大学もそれなりの大学を卒業し、それなりに名のある企業に就職した。
しかしそんな「平凡な自分」に嫌気がさしている。ある日、友達の誘いを受けて参加した合コンで知り合った実業家の男性にトキメクような誘いを受け、恋の炎が燃え上がった。
彼はフレンチのレストランで食事を奢り、夜景の見える綺麗な場所で熱心に自分を口説いてくれたので、デート初日でも体の関係になることにためらいはなかった。
もちろんその後すぐにお付き合いすることになるのだが、その付き合いは長くは続かない。
それはその男が彼女を弄んでいたからではない。智子の方が飽きてしまったのだ。
彼の人間性を知れば知るほどに裏切られた気持ちが強まり、「こんなはずじゃなかった」「もっと素敵な人がいるはずだ」と思うようになった。
、、、そんな恋愛をかれこれ4年間も続けている。男の口説きのパターンも学習し、「他の人にも同じようなことをしているんだろうな」とわかっていても、その魅力的な誘いに抗うことができない。
「もしかしたら、この人こそはわたしを幸せにしてくれる人なんじゃないか」そういう期待を抱きながら、その一方で「そろそろ現実を見なくてはいけないのだろうか。わたしが間違っているのだろうか」と考え始めている。
ゲーム攻略型の恋愛体質
愛梨(25)は、「男が絶えないこと」で有名だ。学生時代は「サークルクラッシャー」として方々で噂になっていた。
本人は、その噂を知りながらも「だって男の方から寄ってくるんだから仕方ないじゃない」と思っている。
彼女は「男を試す」ようなことを無意識のうちにやってしまうのだ。
・目線が合うまでじっと見続け、合ったらすぐに逸らす
・ボディタッチに遠慮がなく、際どいところにも手を伸ばす
・LINEなどでもちょいちょい「気をひくような」内容を送る
しかしいざ、男性の方からデートのお誘いや告白があると、おもちゃに興味をなくした子どものように途端にそっぽを向いてしまう。
彼女にとっての恋愛は「男を落とすまで」がゴールであり目的になっている。いかにしてその目的を達成するかを、ゲームのように楽しんでいるようでもある。
そしてそのゲームを難しくするために「できるだけ手の届かなそうな相手」を選ぶ。彼女にとってはその恋が難しければ難しいほど良い。簡単にクリアできては面白くないのだ。
しかし、本気かどうかはわからないが、一応「このままいくと誰とも幸せになれないんじゃないか、という不安はある」そうだ。
恋愛体質だとモテるって本当?
恋愛体質な2人の典型的な事例を見てもらいました。
この2人、このようにして見ると依存チックな印象を受けると思いますが、実際の生活の中では「恋人を切らさないモテる人」として認識されています。
そのため”異常”だとは思われにくく、一部では「羨ましい」とさえ思われているほどです。
彼女たちがモテる(ように見える)のは当然です。なぜなら、モテることを目的に動いているので、当然モテるのは上手になるからです。
どのような相手にどのようにアプローチすれば向こうが気にかけてくれるようになるか、そのデータが溜まっているので、「男に口説かせる」のはお茶の子さいさいです。
しかし、口説かせた後、その人と1対1で深くお付き合いを続けていく、ということができないのです。
恋愛体質は「刺激中毒」でもある
ドラマ型は「いつか現れる白馬の王子さま」を求め、ゲーム攻略型は「攻略のしがいがある難易度の高い相手」を求めています。
どちらのケースにも共通して言えることは、恋愛に「刺激」を求めているということです。
極端に言えば「刺激がなければ恋愛じゃない」と思っており、「平穏な日々」「安らげる相手」「素の自分でいられること」は重要ではありません。
しかし心のどこかでは「こんな恋愛ずっとは続けられない」と気づいているのです。気づかないふりをしながらも「それしかできない」からそれを続けてしまうのです。
では一体、何が彼女たちをそうさせてしまうのでしょうか?
なぜ恋愛体質な人は、恋愛に熱中してしまうのか?
一般的な「愛情」を形成するホルモンには、セロトニンとオキシトシンというホルモンが関係していると言われています。
セロトニンは「安心感や安らぎ」といったリラックスできる感覚を、オキシトシンは「絆や信頼」といった心の結びつきを形成するホルモンです。
一方で、恋が盛り上がる時に出るホルモンもあります。それがPEA(フェネチルアミン)です。
PEAの中毒性に要注意!
人が恋をすると、このPEAが過剰に放出されることがわかっています。
このPEAは覚せい剤と構造が似ており、強い興奮作用をもたらします。恋愛をした時のあのドキドキ感や高揚した気持ちはこのホルモンによるものなんですね。
このホルモンが出ている間は、身体中にエネルギーが湧き上がるような感じがするのですが、このホルモンが切れるとドッと疲れが押し寄せてきます。
いわゆる「恋の栄養ドリンク」みたいなものとでもいいましょうか。気分の浮き沈みが激しくなるのも、このPEAと無関係ではありません。
もちろん恋愛体質ではない人もPEAが出るのですが、大体の場合パートナーとの関係性を深めていくにつれ、それがセロトニンやオキシトシンに変わっていくために、恋愛体質な人ほどのアップダウンは起こりません。
一方恋愛体質な人は、恋愛にそのPEAによる興奮=刺激のみを求めているため、同じ人と関係性を深めていくということができずに、なんどもPEAの麻薬作用を求めてしまうようになるのです。
恋愛体質が心の病であると認識したほうがいい、と説明した理由が納得いただけたのではないでしょうか。
恋愛体質を止めるために必要な3つのSTEP
ここで一つ注意して欲しいのは、”恋愛上手”な人と恋愛体質な人は違うよ、ということです。
何人もの異性と取っ替え引っ替えお付き合いしていても、仕事やプライベートに一切支障を来さず、またその相手を傷つけることもなく、本人も悩んでいない。
そういう場合であるならそれは単なる恋愛上手な人です。
しかし、
・ある種の恋愛パターンに常習性があり
・同じことを何度も繰り返していることに不快感を感じていたり
・仕事やプライベートにまで支障が出るほど
・恋愛することを欲している
ようだと、治すべき恋愛体質だと言えます。もしあなたが「それは私のことだ」と思うなら、長期的に次の3STEPに取り組んでみることをオススメします。
STEP1:強烈に「恋愛体質であること」を自覚する
冒頭にも書きましたが、改善への第一歩目は兎にも角にも「自覚すること」です。
今まで無意識にしてしまっていたことを、「これは自分にとってよくないことなんだ」と自覚することでようやく「ではどうしたらいいのだろう?」という思考が始まります。
また自分の恋愛のパターンに気づけると、「また同じことを繰り返そうとしている」ということにも気付きやすくなり、同じ失敗をする前に踏みとどまることができるようになるのです。
これまで「どうすることもできないもの、止められないもの」と認識していたものが、「どうにかなるかもしれないもの、止められるもの」と認識できるようになるだけで状況は180度変わります。
ここですぐに「なんとかしよう!」と焦る必要はありません。まずはその状態を認めることだけで構いません。
「あ、またパターンが出ようとしているぞ。でもそのことに気づけているだけでも一歩前進だ、よしよし」とできるだけ肯定してあげることが重要です。
STEP2:本を読み、友達に話す
この記事で書かれていることだけで満足せずに、できるだけたくさんの書籍から、恋愛体質・恋愛依存症に関する情報を集めましょう。
こういったインターネット上の記事では、カバーしきれない具体例や専門家の解説がふんだんに盛り込まれているため、本から気づけることはとても多くなります。
また信頼できる友人・先輩・恩師などに悩みを打ち明けることも大事です。
「恋愛ばかりに気をとられる自分をこれこれこういう理由で変えたいと思っているんです。」と言えば、あなたのことをみていてくれる人であれば、その気持ちを容易に察してくれるはずです。
第三者に話すことで「人に話してもいいことなんだ」という自信が芽生え、また「悩みを理解されている」という安心感にもつながります。
本を読んでインプットする、人に話してアウトプットする、この繰り返しによって、だんだんと行動を変えていくためのエネルギーが溜まっていきます。
STEP3:恋愛以外のことにエネルギーを費やす
恋愛以外にも自分を幸せにする方法はたくさんあります。
恋愛に求めていた刺激を、スポーツに打ち込んだり、一生懸命仕事に取り組んだりすることで代替することも可能です。
もしすぐにそういった「打ち込めるもの」が思いつかなくても心配しなくて大丈夫。「まだ」見つかっていないだけです。
新しい人に出会い(恋愛ではなく)、新しいこと・やったことないことにどんどんチャレンジしていきましょう。
その繰り返して私生活が充実してくると、自分自信を肯定できるようになり余裕が持てるようになるため、恋愛も自ずとスムーズに進むようになります。
恋愛を真に充実させるためには、というのは恋愛以外が充実していていることが必須条件です。
これまで恋愛に使っていたエネルギーをぶつけられる何かに出会うこと。これが恋愛体質を抜け出す一番の方法です。
リバウンドを恐れずに長期的な目線で取り組もう
文中に紹介した、智子さんも愛梨さんも今ではすっかり恋愛体質を抜け出して、愛し合えるパートナーと出会いました。
と、言えるのが本当は望ましいのですが、二人もまだ道の途中です。
智子さんはたまに元カレからの誘いにクラッと来そうになりますが、打ち込める趣味を見つけて楽しそうにやっているそうです。
愛梨さんは転職した後の激務が幸いして、「恋愛どころの騒ぎじゃなくなった」と今の環境を楽しんでもいるようですが、気をぬくと職場の先輩に色目を使う自分に気づくと言います。
恋愛体質は、無意識に組み込まれた自動プログラムです。このプログラムを完全にアンインストールするためにはそれなりに時間がかかります。またその途中でリバウンドも経験します。
ただ、ダイエットと同じように減ったり増えたりを繰り返しながら、長い目で徐々に慣らしていくことで、だんだんとその体質から抜け出せるようになります。
焦らずじっくりと向き合っていきましょう。
まずはこの記事を読んで「自覚した」自分を認めるところからスタートしてみてくださいね。
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