「最初の頃は本当に好きで、同棲もうまくいくと思っていたのに、どうしてこうなっちゃったのでしょうか?」
「うまくいかない同棲」を想定して同棲を開始する人はいませんから、そう疑問に感じてしまう気持ちはわかります。
しかし、人と人が一緒になるということは、必ずしもうまくいくことばかりではありません。
どんなにお互いのことが好きでも、「一緒に住む」ということは「完全なるプライベートまで共有する」ということですから、そこから関係が崩れることは珍しいことではありません。
ましてや元々は他人同士だったわけですから、同棲がうまくいかなくなったとしても、それはある程度は防ぎきれないものなのです。
だからと言って、相手の都合を考えず一方的に別れを切り出すのは人道に反するというもの。
この記事では、上手な同棲解消の仕方について解説していきます。別れを切り出す前に、状況を整理して、丁寧に準備を進めていきましょう。
同棲相手と別れる原因TOP5
どんな原因で同棲をやめるのかによって、同棲の仕方や別れた後の対応なども変わってきます。
まずは自分が「どんな理由で」別れようと思ったのか整理しておきましょう。
同棲している相手と「別れよう」と思う原因は主に次の5つが考えられます。
①金銭感覚のズレ
②家事負担の割合・生活習慣の違い
③二人の関係性のマンネリ化
④暴力(DV)やモラハラ
金銭感覚のズレ
同棲解消の一番の理由になるのは、金銭感覚のズレです。
特に片方が節約型・片方が浪費型の金銭感覚だと最初の方は我慢できても、遅かれ早かれ絶対に衝突することになります。
例えば、最初は「家賃は彼氏、食費・光熱費・ガス水道代は彼女」といった具合に分担していたとしましょう。
しかしある時から彼氏の方が「今月ちょっとピンチなんだ。家賃助けてくれない?」といったような提案がなされます。
このとき彼女が「まぁ1ヶ月くらいなら」と気を許してしまうのが運の尽き。そこから彼は何かと理由をつけて彼女の負担を増やすようになります。
職場を突然やめることになったなどの致し方ない理由であればいいのですが、そこから一向に新しい仕事に就かない、のに無駄に買い物をやめない、といった状態が続くと彼女の方がいずれ限界を迎えます。
家事負担の割合・生活習慣の違い
お金の次に多いのは、生活習慣の違いからくる家事分担の問題です。
共同生活には買い出し・料理・洗い物・掃除・ゴミ出しなどがありますが、それぞれの頻度が人によって異なります。
彼氏は「1日たりとも洗い物が溜まるのが許せない」派、彼女は「2〜3日溜まったらやればいい」派であったりすると、お互いにストレスが蓄積されていってしまいます。
また食事の用意などは「定時で帰れる方が全て負担している」というケースもあるでしょう。
これが当たり前になると、帰りが遅い方が「なんだよ、今日は冷凍物か」と愚痴をこぼしてしまい、その愚痴に用意する側が「カチン」ときて激昂してしまう、といったことが起こります。
二人の関係性のマンネリ化
同棲の期間が長くなると、付き合い当初のドキドキ感などが薄れていきます。
風呂上がりのはだけた姿や、休日のだらしない過ごし方になどに嫌気がさし、相手を異性として見られなくなってくるなんてこともよくあります。
いわゆる「兄弟のように思えてきてしまう」状態ですね。その結果セックスレスになったり、そもそものスキンシップが減ったりします。
そうなると「つながりや絆」を形成するオキシトシンの分泌量が減ってきてしまうので、相手への愛着がなくなってきてしまうのです。
暴力(DV)やモラハラ
このケースは同棲解消までに非常に時間がかかります。
まず被害を受けている側が「被害にあっている」と認識するまでに時間がかかります。
モラハラ被害を受けている人は、相手の無茶苦茶なロジックに丸め込まれ、自分が全て悪いんだと考えるようになり、「逃げ出す」という選択肢が頭に思い浮かばなくなってしまうことも多々あります。
仮に認識できたとしても、「同棲を解消しようなんて言ったら殺されるかもしれない」という恐怖を抱いてしまうので、口に出すことができません。
このようなケースの場合、同棲解消をするならほぼパワープレイ・強行突破が有効な策となります。
この後に書かれていることは後回しにして「とりあえず家を出て音信不通になる」ことが最優先です。
同棲解消するにあたって注意点や揉めないためのポイント
原因が整理できたところで次に考えるべきは、「家具などの共有していた財産」の分与についてです。
既婚者同士なら二等分で問題ないのですが、未婚のカップルの場合はどうなるのでしょうか?
慰謝料の請求をされたら支払わなくてはいけない?
未婚のカップルが同棲を解消する場合法的に「財産分与」の対象になるのは、二人の同棲期間に寄らず、内縁の関係にある、つまり「互いに夫婦(事実婚)だと認めている」カップルです。
お互いが夫婦であると認識していれば、法律婚カップルと同じように財産を二人で等分することが可能です。
しかし、ただの彼氏・彼女であった場合には、基本的には「話し合い」による解決が原則となり慰謝料の請求などはできませんし、されたとしても支払いの義務はありません。(※)
お互いの認識が食い違う場合には、事案ごとの検討が必要になりますので、弁護士などに依頼しましょう。
(※)DVやモラハラを受けた場合には、未婚のカップルであっても慰謝料を請求することは可能です。
家具はどうする?
次に、家具について。
家具は基本的に「購入した人」に所有権があります。ですから同棲を解消する際には、購入する人が持っていくか処分するか、相手に譲るかを決められます。
しかし二人で購入した場合などには、二人での話し合いが必要になります。どちらかが相手に譲るか、中古品として売り出しそのお金を二人で分ける、といった方法なども考えられますね。
誰かに譲ってもらったケースの場合は、その譲ってくれた人が「誰に」譲ってくれたのかがポイントになります。
あなたに譲ったのならあなたのものですが、「二人に」譲ったのなら二人のもの、ということになります。
共有貯金やこれまでの生活費はどうなる?
例えば、あなたが相手と結婚するつもりで生活費などを負担していたとして、いきなり相手から一方的に別れを切り出された場合。
そのような場合に、相手にその分の生活費を請求することができるか?と問われればそれはNOです。自分の意思で払っていたことになりますので、その分を請求する権利は法的にはありません。
また二人で作った貯金などは、内縁関係の証明ができれば2等分になりますが、それができなければ話し合いによる解決が必要になります。
退去費用はどうする?
二人揃って今の部屋を出ていく場合は、その費用を二人で折半すれば問題ありません。
しかし契約者が残り、同棲相手が退去を迫られている場合、退去にまつわる費用(引っ越し費用など)を請求することはできません。
もし「引っ越し費用は持つ」と口約束されていた場合には、『書面によらない贈与契約』を結んだことになるので請求することも可能です。
しかし『書面によらない贈与契約』は「やっぱりや〜めたっ」と言われてしまえばあっという間に無効になってしまいます。
次の住居はどうする?
同棲解消が突然だった場合、次に住む場所を考えなくてはいけません。
すぐに帰れるなら実家に帰ることもできますし、誰か信用できる友人を頼って次の住む家が見つかるまで居候させてもらうことも可能です。
もしあなたが同棲を切り出す側なら「次に住む場所」ないしは「次に住む場所を決めるまでの仮住まい」のアテが見つかるまでは我慢した方が賢明だと言えるでしょう。
円満に同棲解消をするための切り出し方
同棲解消をする際には、既婚であれ未婚であれ「色々なことを話し合わなくはいけない」ということがよくわかったのではないかと思います。
しかし人によっては「相手はまともに話し合いができる相手ではない」「そういう話になるといつも喧嘩になってしまう」から尻込みしてしまう、という人もいるでしょう。
そんな時のために、話を切り出すタイミングやシチュエーションについても予習しておきましょう。
相手のタイミングを見計らう
相手が資格の勉強などで忙しい、あるいは転職中でなかなか仕事が決まらないといったような「落ち着かない」状態である場合は、同棲解消の提案には慎重になりましょう。
そのような状態で同棲解消を迫られれば相手の恨みを買うことにもなりかねません。そうなるとあとあと何かと厄介になります。
もうすでに一緒にいることが苦痛になっているかもしれませんが、もし耐えられる範囲なのであれば多少の我慢も必要になります。
家の中では話さない
また話し合いをする場所は「家の外」であるべきです。喫茶店などの第三者の目がある場所でしましょう。
家の中で同棲解消を切り出したり、財産分与の話し合いをしようとすると、相手が感情的になり冷静な議論ができなくなる可能性が高くなります。
もし二人きりの話し合いに不安があるなら、共通の友人などを間に挟んで話し合うことをお勧めします。
理由は感情的にならずに淡々と話す
別れを告げる時には、感情的にならず冷静になり、淡々と話すことが重要になります。
売り言葉に買い言葉になると、議論が進まずに同棲解消の話自体がなくなってしまうこともあり得ます。
理由を話す際には、一方的に「あなたのここが嫌い」と突き放すのではなく、できれば「お互いのためにならないから」という譲歩の姿勢を見せることも重要です。
「他に好きな人ができた」は言わない方が吉
話をする際には、あなたが望むことが「単なる同棲解消なのか破局なのか」も明確にしましょう。
いきなり破局にすると厄介になりそうだと思えば、まずは同棲の解消だけ終わらせておいてあとで破局も切り出す、という2段階に分けると多少はスムーズに話が進みやすくなります。
ただもし、同棲解消を望む理由があなたに「他に好きな人ができた」ことであれば、それは言わない方が吉です。それを言ってしまうと不貞行為だと見なされて立場が弱くなります。
相手の親への挨拶はするべき?
ある程度付き合いも長く、相手の親にも紹介されているような場合、その親と連絡先を交換している、といったこともありますよね。
その場合でも、向こうの親に一言入れる義務は特にありません。
しかし『結婚間近だった相手に婚約解消を申し出たら、親が出てきてめんどくさいことになった』というケースも耳にします。
相手の親の性格によっては、一言詫びを入れておいた方が後腐れがないかもしれません。
立つ鳥跡を濁さず!「終わり」には十分気を遣おう
物事というのは、始めるよりも終わる方がよっぽど難しいものです。
二人の信頼関係があればすんなり解消されますが、主従関係がはっきりしているカップルであったり、周囲の人間まで巻き込んでいる場合は、話がこじれやすくなります。
そのような場合は相手の状況を見つつ、話を進めるための準備(次の住まい、お金の整理、友人への依頼)などを済ませてから切り出すことをお勧めします。
一旦はめんどくさいですが、先にめんどくさいをことを済ませておいた方が、あとあと安全です。
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがありますが、それと逆の「後ろ足で砂をかける」ような真似をすると、相手の恨みを買うことになります。
もちろん、DVやモラハラなどの緊急事態の場合は、砂がかかろうがかかるまいが「脱兎のごとく逃げる」ことが最優先です。
もしそうでないなら、できるだけ後腐れなく、綺麗に美しく「終わる」ことを目指しましょう。
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