燃え上がる恋愛をしてしまうと、ものすごくエンドルフィンが出る。でも常時出しっぱなしは”中毒”になりかねません。
恋人も私も、お互いが忙しかったころ。私のほうが少し時間があったころ。毎日毎日仕事三昧だったのですが、恋人は終業の時間は決まっていて、ただその時間が遅い時間帯でした。会おうと思えば会えた。時間は限られたけれど、顔を見て、少しのおしゃべりくらいはできた。
私はその少しの時間でも会える気がして、恋人の終業時間になると飛んでいけるように準備万端で待っていたものです。
二人とも疲労困憊でしたが、会えば疲れないと思っていました。しかし恋人は家に帰り、なにか趣味をしたり、本を読んだりしていて、サプライズで会える日なんてありませんでした。私はというとそれでも待っていたし、そんな待つ自分が好きだった。これぞ恋、と思って。
恋人はものすごく長い電話をかけてくれた。今思えば、趣味の合間じゃんって思うんですけれど。「そんな時間あるなら車飛ばしてきてくれよ」って思ったのですが、言わなかった。
毎日、必ず私へのいたわりや愛の言葉があったから。誇張もあったのだろうけど真実だったと思います。だから許していたのかもしれない。デートの時はお互い走り寄ってハグ。本当にドラマのような恋だったのですよ。だからエンドルフィンドバドバ。
エンドルフィンはどうやらモルヒネの6.5倍も鎮痛効果があるそうで、ランナーズハイのときや熱い湯につかったときに分泌される……熱さや痛みや疲れを軽減しようとする緊急避難らしいです。
確かにあんなに走ったのに、高揚感しかなかったのはそのせい。周りが見えなくなっていて、風景はキラキラして、音は聞こえない。完璧な恋のトリップ感でした。
あんな全能感はもうあれっきり。
でもデートの後はぐったり。猛烈に襲ってくる疲れ。本当に麻薬のようでした。
エンドルフィンのおかげか、時間の進み方が当時は遅くて長く交際した気がしました。実際は一年未満だったのですが。
私は何度も虚脱感に襲われていましたが、相手は相変わらず時間を有効に使っていて。でも連絡はマメ。伸ばした手は届かない変な状態。心がすり減るすり減る。
付き合っているのにボロボロになり、げっそり痩せました。まさに、ドラッグ中毒者。
恋愛中でしたが、私のことを好きな男性を「愚痴聞き係」にしました。そこまでしないと精神の均衡を保てなかったのです。自分を療養させるために。
恋人とは正反対で、尽くしてくれる人でした。そして向こうも楽しいはずと思い込んでいましたが、「そんな彼どうかなぁ」、「そんな思いさせないけど」といつも言うのです。
別れが近い日、こう言いました「ああ、彼ねきっと女ができたよ」と。「もう別れが近いからあきらめて僕のほうにおいでよ」。なんだか、母のような言い方でした。私は大声で泣いたのです。もう疲れた。
その後、恋人に別れの言葉を告げて告げられて、幕をおろしました。
かなり後遺症がひどかったのですが、その人は気長に付き合ってくれました。人間って疲れる恋の次は静かな恋、と決まっているのかも。ドラッグのようなアッパーな恋は消耗するので続かない。うまく世界は回っているのだな。
恋愛中毒とか、恋愛依存の女性って毎回こうなのだろうか。いつも感情が高ぶっていないと、恋愛した気にならない! と思ってしまうんでしょうね。それはそれで楽しいですが寿命は縮まりそうです。
毎回、恋愛至上主義だとかなり精神的に来るので、その次は牧歌的な恋でバランスをとるのですね。
つまるところ、結婚のタイミングとはまさにこのタイミングなのでは……。
そんなことを思うのです。
会ひすぎるほど会ひしかどしだいしだいに会はずなりいまはまつたく会はず 安立スハル
※ 俵万智 『あなたと読む恋の歌百首』 文藝春秋 (2005)
あんなに会って会って愛しても終わればそれっきり。あの人の、行方も知りません。それでいいんでしょう。みんなそうでしょう。
Photo by Luciano Meirelles
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