普段は本サイトで転職指南や転職サイトの攻略法、現役社員のインタビューを行っているが、久しぶりに私自身が企業の面接を受けたので記録として残しておく。
今回、元同僚から外資系企業の選考プロセスとしてリファレンスチェックの面接を依頼された。リファレンスチェックをしたことある方が発信している情報がなく私自身が困ったのでぜひ参考にしてほしい。
なお、現在、転職を考えている、あるいは選考が進んでいる人は本サイトでの情報に加えて、求人サイトとエージェントを併用してほしい。
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目次
リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは求職者が面接で言っていることが正しいのか、また短時間の面接では見れない人柄をしらべるために企業の人事部が選考プロセスに組み込んでいる外部チェック機能だ。
リファレンスチェックでは、求職者が一緒に働いたことがある人に対して、採用の合否を決めるために参考となる情報を本人以外から取得するプロセスだ。
平たく言うと、候補者の元同僚を呼んで、「今採用を検討しているんだけど、あの○○さんって、ぶっちゃけどういう人?」と聞くプロセスだと思えばよい。
経歴詐称で問題となった有名人は時折見られる。もし、あなたの企業にそのような人が面接を受けにきたとして、リファレンスチェックのプロセスを行えば採用に至ることはおそらくないだろう。
もしかしたらそのような人は、同僚のフリをした役者を雇うのかもしれないが。
リファレンスチェック(Reference Check)の種類
リファレンスチェックには2つの種類がある。
候補者が用意するパターン
候補者に対して選考プロセスの中で、リファレンスチェック用の人を用意してくださいと依頼するパターンだ。
基本的には同じチームで働いたチームメンバー、特に上司が駆り出される。社長クラスだと部下が呼ばれるだろうか。
今回私は、このパターンで面接を受けた。外資系企業、特に米系ではのプロセスが一般的になってきつつある。
企業側が裏側で探すパターン
企業側が候補者に黙ってリファレンスチェックをしてくれる人を探すパターンがある。
法的に問題があるという話は今回ここでは議論しないが、採用には莫大なお金がかかるため慎重にならざるを得ないのは当然なのでどんな手を使ってでも候補者の情報を集める。
そのため自社の社員のネットワークを駆使して候補者の知らないところで探すのだ。
自社で探すのは大変だと思うかもしれないが、例えば一部のPEファンドは、特定の投資銀行や戦略コンサルからしか転職をしていないため、つながっている人を探すのは比較的容易なのである。
そのため、今まで転職した実績のない企業の人を採用するとなると非常に慎重になるのである。 企業名で決められるのは癪だと思う方もいるだろう。
しかし、就職活動をみていると東京大学や慶應義塾大学ばかり採用されている企業もあるが、過去そこの大学の人が活躍しているため積極的にそこの大学の人を母集団形成しようとなるわけである。
リファレンスチェックの具体的な内容
まず形式について述べる。形式は、書類形式、面接形式の二つがある。
書類は手間になるので面接(多くの場合は電話やスカイプ)で所定の時間をとって行う場合があるが、いずれにせよ準備をしないといけないのでどちらも手間なのである。
候補者が書類だけリファレンスチェックをしてくれる方から回収する場合もあれば、会社のリクルーターから直接連絡が来る場合もある。
私は、会社の人間と直接やりとりすることになった。私のほかにも元同僚の先輩が私と同様のプロセスでリクルーターからコンタクトが来ていたようだ。
リファレンスチェックの質問内容
さて、肝心の質問項目だが、事前に質問する内容については共有されたので対策はできた。質問は当然英語で共有され、英語で回答する必要があった。担当官も外国人であった。 質問項目は多岐にわたる。
質問内容を原文のままのせることはできないが、日本語でざっくりした要約文を一部だけ掲載する。
–候補者との関係性を教えてください。
–候補者はどのような仕事をしていましたか。
–候補者がどのようなリーダーシップを発揮しましたか。具体的な事例を添えてください。またその結果どのような影響がありましたか。
–候補者は仕事上でどのような良い変革をもたらしましたか。具体的な事例とともに教えてください。
–候補者の長所/短所を教えてください。
その他、オフラインでリファレンスチェックを受けたことがある人に聞いたら、
–候補者は職場でどのような人でしたか。
–候補者のパーソナリティ、人間性を教えてください。
–候補者は仕事の成果は社内で上位何%に入る活躍をしていましたか。
等々があった。 上記のようにフリーで答えるものもあったが、記号で事前に選びその理由を答えるものもあった。いわゆる選択式のものだ。
ちなみに準備時間は数時間かかるものであるため、候補者との関係性が良好でないとリファレンスチェックを行う側の人間が引き受けないことを覚えておこう。
また、今回は調べた限りリファレンスチェックの中でもかなりヘビーな部類にあたるが、人間性を問うだけの簡単なものが多いようなので内容を事前に確認しておこう。
私の場合は、彼は明るい人です、陽気な人ですといったパーソナリティ寄りの部分は全く聞かれず仕事上の能力ばかり問われた。
その他質問
その他の質問としては、リファレンスチェックを行っている人自身のことも聞かれる。あなたはどのような仕事を今しているのか?とあなた個人のことも聞かれる。
私もこのトップティアの外資系企業に採用されるのかと途中で錯覚するくらい自分のことを聞かれた。趣味はブログを書くことと答えればよかっただろうか。
最後には今後もがんばってくれと熱いメッセージまでいただいた。
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一般的な注意点
外資系企業でリファレンスチェックが行われることからわかるように基本的には英語でリファレンスチェックを行う必要がある。つまり、ビジネス英語ができる元同僚がいないと厳しいのである。
ネイティブチェックを挟めばよいが英語チェックのプロセスでさらに時間がかかる事と、面接形式であれば英語ができない人だとその地点でアウト。
日系企業に在籍していた方はリファレンスチェックをお願いする人を探すのに苦労することが推察される。
この地点で外資系出身者が有利になることは言うまでもない。リファレンスチェックはネット情報だと断ることもできるらしいが、採用前で立場の弱い候補者は通常なら言われた通りに行うだろう。
回答にあたって注意した点
回答にあたって気を付けた点を細かいものを含めて整理したい。
–仕事を何していたか細かく振り返った
–候補者の人とどういう仕事をして何を学んだか整理しなおした。まだ社内に残っている同期にも当時の仕事内容について軽く照会した。
–候補者の人の人間性がわかりかつ、結果が出ているエピソードを引っ張ってきた
–過去の話なので時制が全部過去形になるようにした(私は英語ネイティブじゃないので意外とここで間違った)
–英語なので表現は簡潔に、かつポジティブな意味をもち人間性をあらわせるものを多用した
–面接で候補者が言っている強み、弱みを事前に聞いて、自分が話す内容と整合性をとった
–社内用語を使わないように回答することと、どうしても使わないといけない場合は略語は用いず説明をきちんと行った
–基本的にほめることを意識する
リファレンスチェックを終えてみて
自分が転職面接をしていなかった分非常に緊張した。自分の回答が合否に大きく影響するわけではないが、実質的な推薦人としてでてきた人間が微妙な回答をしていたらマイナス評価になるので自分の転職面接以上に緊張した。
普段偉そうにここで文章を書いているのが恥ずかしくなった。 新卒の面接とは違った角度から仕事のことについて答える必要があり難しいと感じた。
リファレンスチェック後に米国出身の投資銀行マンの友人と雑談をしたが、「新卒面接でつまづくような人には絶対リファレンスチェックはたのめないなw」と言われたがまさにその通りであろう。
リファレンスチェックは拒否できるものではないので、事前に自分の振る舞いや人間関係を整えておくのが最も良いだろう。
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リファレンスチェックをかける意味について人事の観点から考えた
リファレンスチェックを何のためにするのかと考えたときに3つの側面があると感じた。
1点目は、冒頭で述べたように面接で言っていることが本当なのか採用するべき人かどうかの判断材料にするためだ。
2点目は、リファレンスチェックの場合、他人の時間をとることになり、辞退しづらくさせる効果があると思う。
リファレンスチェックは、社長クラスをのぞけば基本的に上司に頼むことになるため上司の時間をわざわざとったうえでその会社に入らなかったというのは上司に申し訳なく思うのは当然だろう。
もちろん、リファレンスの段階で志望が高くないですよと伝えていたとしてもやはり上司にはお世話になった分申し訳なく思うものなのだ。
こういった外部圧力を利用して候補者が辞退しにくくなるような仕組みにリファレンスチェックがなっているように感じた。もちろん後者の話に関しては副次的なものであろうが。
3点目に、採用の機会だ。リファレンスチェックに候補者が用意する人は消去法的に選んだ場合もあるが優秀な人を用意する場合が多いだろう。
そのため、採用側としてもリファレンスチェックの面接に登場してくれる人には非常に興味をもつのである。
事実、私ともう1人面接をしたマネージャーはその会社からいつでもあなたのような人を当社では求めているとのメッセージがあったそうだ。
最後に一言アドバイス
久しぶりに面接を自分で受けてみて等身大の体験談を書いてみた。普段の内容とは少し異なるものをお届けしたらお役にたてたら幸いだ。
リファレンスチェックは非常に手間をかけるのと、悪く思っている人のことは良く言うのは難しいので退職するときは良い印象を与えて去るようにしてほしい。
終わりよければすべてよしということではないが、あの人はいい人だったよねというイメージが残っていればリファレンスチェックがきても無難な回答を元同僚がしてくれるはずである。
なお、リファレンス面接にあたっては、必ず自分の職務内容をアップデートし、簡単に整理しておくとよい。
今回受けた候補者の元同僚も ビズリーチ経由で企業に応募していたのでぜひ使ってほしい。(現在選考中の会社もリファレンスチェックがあるようで再度私の登板がありそうでやや戦々恐々としている)
なお、英語をつかったハイキャリア求人を探しているなら、ハイキャリア向けの「リクルートダイレクトスカウト」にも登録しておこう。
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エージェントはそれぞれ強み弱みがあるので、もし検討している業界や企業があれば、そこに最も強いエージェントに登録して活用することがおすすめだ。
ぜひ転職活動に最大限活用してほしい。
リファレンスチェックで疲れたので今日は以上だ。