デロイト、EY、KPMGと並び、会計系コンサルティングファームとして世界に名をとどろかす、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)。PwCは組織構造が複雑になっており、転職者にとってはわかりにくい。
今回はPwC Japanの主要会社である、PwCコンサルティングとPwCアドバイザリーの方をそれぞれお呼びして組織解説いただいた。PwCコンサルティングとPwCアドバイザリーに転職する方はぜひ参考にしてほしい。
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目次
PwCが抱える法人について
-PwCというと、組織が色々ありますが、大枠で解説していただけますか。
PwCは複数の企業で構成されるグループなので、①グループ企業構成→②企業内の組織構成の順でお話しします。
グループ企業構成
グループ内の主要所の企業をざっくり整理すると以下のようになります。(機能:会社)
- 監査:PwCあらた監査法人
- コンサルティング:PwCコンサルティング
- FAS(M&A・事業再生等):PwCアドバイザリー
- 法務:PwC弁護士法人
- 税務:PwC税理士法人
その他にも、サイバーセキュリティ等に関するサービスを提供するPwCサイバーサービス等、いくつかグループ会社がありますが、主要会社はこんなところです。
我々の所属がコンサルティング、アドバイザリーである事と、それ以外は士業なのでこの2社の組織構成についてご説明します。
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PwCコンサルティングの組織構成。コンサルティングとアドバイザリーの違いは何か
-PwCコンサルティングとPwCアドバイザリーも組織が多岐にわたっていますよね。それぞれ解説していただけますか。
まずはコンサルティングからご説明します。PwCはよく組織再編が行われる会社であるため、あくまで2018年6月時点の話であることにご留意ください。
総合系のコンサルティングファームによくあるように、インダストリー軸とソリューション軸で切られた、マトリックス組織となっています。
シンプルに抽象化してチームの役割分担を書くと、インダストリー軸のチームは、業界の専門知見をもってクライアントと対峙し、案件を獲得・マネージする役割です。
一方、ソリューション軸のチームは、ソリューションの専門家としてプロジェクトに参画し、インダストリー軸のチームと連携してクライアントにサービスを提供します。
例えば、「自動車会社の営業部門の機能戦略を立案する」というプロジェクトがあるとすれば、インダストリー軸からCIPSの自動車チームが案件を獲得します。
ソリューション軸のカスタマーチームが営業戦略の専門家としてプロジェクトに参画してCIPSと協力してプロジェクトを回します。
その中でCRMシステムが必要となればITコンサルチームを入れたり、M&Aが必要となればPMIチームを入れたりします。
もちろん、ソリューション軸のチームが案件を獲得したり、インダストリー軸のチームだけでプロジェクトを回したりすることも普通にあり、実態がこの通りとは言えませんが、役割論としては上記のようになっています。
組織図を書くと以下のようになります。
それぞれのチームを簡単に解説します。
インダストリー軸のチームは、専門とする業界を軸に、以下の5チームが存在します。
- CIPSは、自動車関連、重工業系、商社、流通・小売、エネルギー等の昔からある伝統的な業界を専門にしています。
- TMTは、ハイテクメーカーを含めたテクノロジー企業、メディア・エンタメ、通信会社等の比較的新しい業界を専門にしています。
- FSは、金融業界を専門にしているチームです。メガバンクや証券会社等、イメージしやすいと思います。
- HIAは、ヘルスケア業界を専門にしています。製薬会社が中心です。
- PSは、政府系機関を専門にしています。XX省等をイメージしていただけるとよいと思います。
ソリューション軸のチームとしては、大きく、以下の4つがあり、それがさらにソリューションの専門性で細かく分かれます。
- Strategy Consulting(SC)は、Strategy&で構成されます。Strategy&は旧ブーズ・アンド・カンパニーがPwCに統合されて設立されたチームで、いわゆる上流の戦略案件を担当するチームです。
- Management Consulting(MC)は4つのチームで構成されます。以下4チームがそれぞれの専門性を活かして戦略策定から実行支援までサービスを提供しています。
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- SCM周りを専門とするオペレーションチーム
- 営業・MKT周りを専門とするカスタマーチーム
- 人事組織を専門とするP&Oチーム
- M&Aを専門とするPMIチーム
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- Technology Consulting(TC)は、MCより多くのチームで構成されています。代表的な3チームをご説明します。
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- いわゆるITコンサルティングチームのTAS
- データアナリティクスを専門とするD&A
- デジタル関係の専門チームであるD&DT等
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- 最後にRisk Consulting(RC)です。このチームでは地政学上のリスク等についてのコンサルティングや、フォレンジック業務を中心に担当しています。
PwCアドバイザリーの組織構成
-なるほど多岐にわたりますね。いったんPwCアドバイザリーの解説もお願いできますか。
PwCアドバイザリーでは、M&Aを軸にしたサービスを提供しています。
従って、業界に特化する必要はあまりなく、M&Aや事業再生といったソリューションに特化することが求められており、コンサルティングでいうところの横串のソリューションチームのみで構成されます。
内容としては、Deals Strategy、M&A Advisory、M&A Transaction BRS、CP&I、Forensic、の6チームになります。横文字ばかりなので1つずつ解説していきます。
- M&A Advisoryはいわゆる投資銀行やFASが行っている、FA業務を担当します。PwCアドバイザリーやEY、デロイトといった会計系ファームのFASは、投資銀行と比較して1社です。
- DDや税務、法務に対応できるという強みがある一方、資金調達業務ができないという弱みがあります。そのため、ビッグディールでは、資金調達が可能な投資銀行に強みがあります。
- Deals Strategyは、M&Aを基軸とした戦略コンサルティングを提供するチームです。PwCが買収したマーバルパートナーズというM&A戦略ファームが母体となっています。
- M&A Transactionは、FDD、Valuation、Modelingといったディールに必要な業務を担当します。
- BRSは、業績が悪化した企業の再生を支援する、いわゆる事業再生を担当しています。これは競合他社と比べてもPwC Japanの強みのあるサービスです。
- CP&Iは公共系の案件を行う部門です。PPP(Public Private Partnership)やPFI(Private Finance Initiative)等のアドバイザリー業務を行っています。
- 詳しい説明は省きますが、PPPは公共サービスを、国または各自治体、民間と協力して事業を行うパターンです。
- PFIは公共施設の建設や運用を民間のノウハウを活用して事業提供するものです。空港や病院運営等に活用されていますね。
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PwC全体について
-ありがとうございます。コンサルティングとアドバイザリーの2部門だけで非常に組織が多岐にわたっていますね。いくつか質問させてください。まず、組織の規模感を知りたいので人数を教えてください。
PwCコンサルティングは最近だいぶ規模が拡大したので正確な人数はわかりませんが、1500~2000人程度だと思います。
PwCアドバイザリーは500~600人程度です。アドバイザリーはBRSが最も規模が大きく、100人程います。
事業再生の部門に100人も抱えているのは日本ではPwC Japanだけで、他社はせいぜい20人程度です。アリックスパートナーズやデロイトの事業再生チームはそれほどの規模はないと聞いています。
-戦略コンサルティングをする部署だけで、PwCコンサルティングのStrategy&、MCそしてPwCアドバイザリーのDeals Strategyと3部門ありますね。どのように、住み分けているのでしょうか。
総合系のファームではよくある部門間の領域被りの話ですね。
場合分けをして、①Strategy&とMCの比較、②Strategy&とDeals Strategyの比較、③MCとDeals Strategyの比較でお話しします。
①Strategy&とMCの比較
どんな組織にもそうですが、役割分担には本音と建て前があります。
建前の話をすると、PwCでは、「戦略」と名の付く案件は基本的にStrategy&が担当することになっています。
とはいえ、一口に「戦略」といってもいくつかレイヤーがあります。
PwCコンサルティングでは、Strategy&が担当する「戦略」とは、いわゆる全社戦略や事業戦略を指し、MCの部隊は、機能戦略を担当するという立て付けになっています。
例えば、ある会社のA事業部の戦略立案プロジェクトであればStrategy&、営業戦略立案プロジェクトであればカスタマーチームという具合ですね。
本音の話をすると、Strategy&が機能戦略を担当することもあれば、MCのチームが事業戦略を担当することもあります。
私自身も両方担当したことがあります。結局はどのパートナーが獲得したプロジェクトかによって、担当するチームが変わるというのが実情です。
もちろん、あまりにもケイパビリティが違うプロジェクトは担当チームに引き渡すのが通常です。
例えば、事業の中計立案の中でシステムの話が出てきたらTC、人事制度の話が出てきたら人事チームに手伝ってもらいます。
②Strategy&とDeals Strategyの比較
この両者の場合は、チームのミッションが異なります。
Deals Strategyの場合は、基本的にM&Aありきで提案してプロジェクトを受注するのに対し、Strategy&は会社の戦略を実行する1オプションとしてM&Aをとらえます。
もちろん、Deals Strategyでも、以前M&Aをお手伝いした会社から戦略立案の仕事を頼まれた場合等では、M&Aにこだわらない戦略立案プロジェクトも受注しています。
③MCとDeals Strategyの比較
上記の2例でほぼお分かりかと思いますが、MCとDeals Strategyでは、戦略の切り口が異なります。
Deals StrategyはあくまでM&Aが基軸、MCは自分たちの専門領域が基軸です。
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コンサルティングとアドバイザリーの仕事の違い
-案件を獲得する際の違いはあるのでしょうか。
コンサルティングの場合は、前提として基本的にクライアントが有数の大企業ばかりです。インダストリー軸のチームが大企業のアカウントを持っており、そのリレーションを活用して提案することが多いです。
コンサルティングのフィーはなんだかんだ言っても高額なので、支払える企業が限られます。
大企業のほとんどがすでに顧客であるため、新規に開拓する方が非効率になるケースが多く、結果的に既存顧客への追加提案が多くなります。
一方、PwC アドバイザリーはあくまでディールという切り口でのプロジェクト受注となります。ディールには銀行等の金融機関がほぼ確実に絡むので、銀行からの紹介で案件が来ることが実は多いです。
融資先の業績が悪化してきたときに、融資元の銀行がBRSチームに事業再生を依頼するというケースが典型です。
銀行は何十億、何百億円と融資していますから、会社がつぶれたら銀行は困ります。
数千万円のコンサルティングフィーを融資先に払ってもらうことで、融資回収が不可能になるのを防げるのであれば、コンサルティングフィーなど安いものという考え方です。
他には、M&Aの実行段階で支援している銀行から依頼が来ることもあります。
-戦略案件の場合、プロジェクトの期間もPwCアドバイザリーとPwCコンサルティングで同じくらいなのでしょうか。
Strategy&やDeals Strategyが担当するようなプロジェクトであれば、通常3ヶ月程度のものが多いです。一派的なコンサルティングファームのように、レポートを提出しておしまいとなる形が多いです。
また、BDDやFDD等の1ヶ月程度で終わるプロジェクトも存在します。
一方、MCが担当することが多い機能戦略や、再生までハンズオンするBRSの場合は戦略立案から実行支援までプロジェクトスコープとなることが多いです。
3ヶ月で戦略立案、その後さらに3ヶ月~6ヶ月(場合によっては1年以上)支援するという形が多いです。
こうしてみると、あくまで戦略という上流案件の切り口で見ると、アドバイザリーだから短い、コンサルティングだから長いというわけではなく、部署や役割によってプロジェクト期間が変わるようなイメージですね。
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ポジション・昇進・年収はPwCの中でも部署ごとに異なる
-PwCコンサルティングとPwCアドバイザリーでポジションや昇進スピード、年収は変わってくるのでしょうか。
PwCでは、コンサルティング、アドバイザリー共にポジション構成は同じです。
下から順に、アソシエイト(A)、シニアアソシエイト(SA)、マネージャー(M)、シニアマネージャー(SM)、ディレクター(D)、パートナー(P)・マネジングディレクター(MD)となっています。
昇進スピードは、PwCコンサルティングの方が早い傾向があります。
新卒に関して言えば、AからSAへの昇進はPwCコンサルティングで最速3年目、PwCアドバイザリーだと最速4年目です。
とはいえ、PwCコンサルティングで3年目、つまり、2年と数ヶ月程度で昇進できるのは同期の5%も満たないくらいなので、最速昇進できるのは、限られた仕事ができる人だけです。
PwCアドバイザリーだと、金融業界出身者が多いということもあり、PwCコンサルティングに比べると、年功序列な空気があります。もちろん、仕事ができないと一向に昇進できません。
年収について述べると、PwCアドバイザリーの方が同じポジションでも年収が高くなっています。
金融業界出身者を採用していること、および、昇進スピードがPwCコンサルティングより遅いことが理由として挙げられます。
-具体的に年収はどれくらいに各ポジションでなるのでしょうか。
コンサルティングに関してざっくりいうと、Aでベース420~550万円+残業代+ボーナス、SAで600~800万円+ボーナス+残業代、Mでベース1000万円行くかどうかくらいでしょうかね、
アドバイザリーはそれよりやや高い給与レンジになっています。
異動・配属について
-部門は異動できるのでしょうか。例えば、PwCコンサルティング内での異動、および、PwCコンサルティングからPwCアドバイザリーへの異動は可能なのでしょうか。
会社として社内異動制度が用意されており、それを活用することでたとえコンサルティングとアドバイザリーのように会社をまたいでも異動することが可能です。もちろん同会社内の部署異動も可能です。
-某会計系ファームだとITの部門になると脱出がほぼ不可能になっていますが、異動制度は建前でなく、実際に利用可能なのでしょうか。
可能です。所属部門のパートナーが、異動制度を行使した職員を止める権利はありません。止めにかかって処分された例がかつてあったと聞いたことがあります。
1年以上同一部署に所属している等、異動制度を利用する条件を満たしていること、及び移動先の承認があれば確実に移動可能です。
新卒について
-新卒採用時の配属はどのようになっているのでしょうか。
新卒採用は、ストラテジー採用、テクノロジー採用、コアコンサルティング採用の大きく3つのルートがあります。
ストラテジー採用はStrategy&、テクノロジー採用はTCに配属されます。
コアコンサルティング採用の新卒がコンサルティングとアドバイザリーの各部署に配属されます。
コアコンサルティングにおける配属のプロセスとしては、1~2ヶ月程度の全体研修を受け、その中で配属希望を提出します。配属自体は研修のパフォーマンスを加味して決定されます。
研修で目立ったパフォーマンスを出していると、配属希望が通りやすくなります。
-新卒の配属において人気の部門はありますか。
人気の部門は年度によりますね。PwCアドバイザリーだとCP&Iは公共系ということもあり、女性に人気です。BRSもPwCが強みを持つ看板部署なので人気ですね。
2018年度入社の新卒は、確か100人くらいがPwCコンサルティングで20人くらいがPwCアドバイザリーだったと思います。
-コンサルティングファームの巨大化が進んでおり、質の低下も叫ばれていますが実情としてはどのように感じますか。
以前は一定数、エッジのある人を採用していたのですが、最近は、Tier2らしい採用ですね。
PwCによく来たなぁという高いレベルの人を少数採用していました。
エッジが効きすぎていて、周りの社員とは文化的にあまり馴染めないものの、特定の領域で能力を発揮する人を採用できていたのですが、今は平準化された印象です。
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仕事の内容について
-PwCは客先常駐案件が多いイメージですが、いかがでしょうか。
常駐する案件も多数あります。
ただ、M&Aの案件だと客先に常駐する意味がないので、週1回、もしくは月に1回、社長や経営企画部長と会う感じです。
ミーティング以外は、PwCのオフィスでチーム毎に一緒に作業をしています。
-社長への提案は、部長への提案と提案の質が大きく変わりそうですね。
社長の目線で考えて、提案することが重要になってきます。
社長だと細かいところはどうでもよくて、会社を買う際に、最初に大体いくらですと提示するときは、桁がずれていなければいいですし、社長が買収を決断するのに必要な情報だけ、提案しなければいけません。
部長クラスだと細かい市場の成長性とかを見せないといけないです。
社長クラスだと、相手に買収をしかける際に、どういうタマをどういう順序で出すかも我々が考えて提案するので、目線が高くなります。
買うのか買わないのか、買ったら儲かるのか、儲からないのかと、通常の経営企画部長と、話す内容が大きく異なるので使いわけが難しいですね。
-どういうプロジェクトが忙しくなりますか。
戦略ファーム出身の人が上司というか、マネージャーとなるプロジェクトは忙しくなります。長時間労働に慣れている気がしています。
ローランドベルガー出身の人は、特に労働時間が長い気がしています。PEファンドからの転職組もいますが、彼らは優秀なように感じます。
また、チームごと他社から異動してくることもあります。偉い人が転職したのに合わせて、チーム丸ごと移籍する感じです。
転職してくる人について
-転職組は事業会社出身の人も多いでしょうか。
事業会社出身の人も一時期は多く採用していましたが、今は採用が少なくなっているように思います。
事業会社出身でコンサル未経験の人は、なかなかコンサルで価値を出せずに苦労している人が多かった印象です。実際に働き方が合わず短い期間で辞めていった方も少なくありません。
-事業会社出身で活躍できないというのはどういうところなのでしょう。
コンサルタントの働き方と、事業会社での働き方は大きく異なります。事業会社での自分の成功体験を捨てて、0ベースでコンサルスキルを身に着けた中途の方は大活躍する印象があります。
逆に事業会社のやり方にこだわる人はコンサルタントとして活躍することは難しいと感じます。
例えば、目的とアウトプットイメージを明確にしないまま作業を開始して時間を無駄にしたり、指示待ちになってしまう人は見たことがありますが、当然評価されていませんでした。
評価について
-評価という話が出たのでお伺いします。評価は公平に感じていますか。
そうですね。あくまで私見ですが、それなりに正当に評価されていると思います。
会社としてグローバルで定められた評価基準があり、それに沿って評価されます。
大きく5項目の評価項目があり、リーダーシップやテクニカルスキル、ビジネスの知見やリレーション力等、コンサルとして活躍するに必要な能力を評価されます。
一緒に働くマネージャーが評価してくれるので、自己評価とマネージャーの評価が大きく乖離することはありません。
自己評価とマネージャーの評価がずれていた場合は、正当なロジックとファクトをもって議論をすることで、評価は適正なものに修正されます。
ただし、チームごとに少し評価項目の解釈に違いがある場合があるので、それは事前に確認し、上司とすり合わせておくべきです。
-評価が悪い人はどうなるのでしょうか。
評価が悪い人はそもそも案件にアサイメントされないか、その人でもできるロールでアサインされます。例えば、SAのポジションだとしても、Aのように扱われたり、難易度が低めの案件にアサイメントされたりします。
そのような人は、自分でも評価が悪いことに気が付くので、最終的には辞めますね。
-クビもありますか。
Up or Outの文化・制度はあまりないので、表立ったクビはあまり聞いたことがないです。
ただし、当然パフォームしていないと、先ほど言ったようにアサイメントされにくいことはあると思います。
-役職ごとに求められるスキルも違いますよね。
Aの内は一般的にはタスクレベルのスコープを見ます。
そのため、プロジェクトの文脈を理解して、一つ一つの分析や資料作成等を高品質でこなすことが求められます。
SAになると、モジュール単位でスコープを見ます。
例えば、新規事業立案プロジェクトが、新サービスのビジネスモデル検討、販売戦略検討、マーケティング戦略検討の3モジュールで構成されるとすると、SAはその一つの責任を負って仕事をします。
そのため、モジュール単位の設計、分析などのタスク遂行、場合によっては下につくAのマネジメントができる必要があります。
Mとなると、モジュールすべてを設計し、プロジェクトを回すことがスコープとなります。
また、管理職としての側面もあり、自分がいくら分析や資料作成の能力があっても、部下や後輩を育成できない人材はMとしては失格とみられることがあります。
意外と優秀で早く昇進する人ほど、こうした下へのコミュニケーションスキルの課題点を指摘されることがあります。
SM以上になると、年間の予算責任が生じ、プロジェクトを生み出すことが仕事になるので、プロジェクトを回すよりは営業力や社外リレーションが求められます。
たまにM以下の実務能力がイマイチでも、営業力がすさまじくSM以上で大活躍する人がいます。
PwC全体の印象
-PwC全体としては、どのような人が多いですか。
PwC全体だと、丸くておだやかな人が多い印象です。
-辞めていく人はどういうところにいくのでしょうか。
一般的なコンサルティングファームと同じですが、同業に転職する事が多いと思います。
若手だと同業以外ではベンチャー企業に行く人が多い感じがします。起業する人もいますが。
マネージャーを超えると、同業転職の割合が増えます。事業会社に行くとしたら、ベンチャーに経企部長やCXOで行くか、もしくは大手企業の経営企画部も結構います。
-中途できた優秀な人も辞めていると聞きますがどういう理由でしょうか。
仮にコンサルとしてフィットしているとしたら、人があわない、プロジェクトがつまらない、より条件の良いオファーが他社からあったといった理由が考えられますね。
例えばDTC(デロイト)の方が基本的にPwCより給料がいいらしいと噂で聞いたことはあります。そういうケースは多いと思います。
-社内の力学として、どの部門が権力を発揮しているのでしょうか。
シンプルに規模が大きく、売り上げ規模が大きい部署の影響力が強くなりがちです。
コンサルティングでは、CIPS、FSといった案件規模が大きく人員も多い部門、アドバイザリーではBRSが最大規模なので影響力が大きいです。
大きいチームはボーナスが良かったり、稼いでいる関係で昇進の椅子が多くもらえるので昇進が早かったりとメリットがあります。
一方、スタッフ目線に立つと、小さいチームのメリットもあります。
上の人まで顔が良く分かっているので、何かあったときに守ってくれます。大きいチームだとより機械的に管理せざるを得なくなり、人と人のつながりが希薄になりやすい気がします。
また、小規模でとがったチームの方が人材の質が高く、面白い案件が経験できる可能性が上がることもメリットです。
大規模チームではどうしても全員が優秀というわけにはいかず、優秀な上司に巡り合う確率が下がります。
-ありがとうございました。
ビズリーチ |
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編集後記
PwCコンサルティングおよび、PwCアドバイザリーの現役コンサルタントの方にお話を伺った。
PwCはコンサルティング業界内外含め、名の通った会社ではあるが、組織内部については知られていないところも多く、有意義なインタビューになったように思う。
コンサルティング業界、及びPwCコンサルティング、アドバイザリーに興味のある方は是非ビズリーチへ登録してほしい。
外資全般を見ているのであればリクルートダイレクトスカウトも併用しよう。コンサル未経験からの転職には、アクシスコンサルティングを是非活用してほしい。
コンサルOBのサポートを受けられ、現役コンサルタントの支援実績はNo.1だ。入社後のサポートもあり、おすすめだ。