戦略コンサルに就職した後のキャリアについての質問をよく受けるので意見を書かせていただく。
ビズリーチ |
|
マイナビ エージェント |
|
リクルート ダイレクトスカウト |
|
- キャリハイ@編集部
- 「史上最高のキャリア」を目指す方に役立つ情報提供を目指しています。外資系、メーカー、金融、メガベンチャー、スタートアップなど、様々なバックグラウンドを有するメンバーが参画しています。
目次
戦略コンサルのファーストキャリアとしての位置づけ
戦略コンサルに就職することは、将来事業会社に転職することを見据えると全く意味がないという意見の人がいる。こういった意見を踏まえて、果たしてファーストキャリアで戦略コンサルに就職する意義は何なのか考えたい。
戦略コンサルは2000年代から東大、慶應をはじめトップ層が「外資系」という文脈で企業を受ける人が増えた影響もあり人気の業界となった。ここ10年ではリーマンショック後であった、2008年(2010年入社),2009年(2011年入社)あたりを除くと1社あたり20人以上採用する戦略コンサルティングファームもある。余談だがリーマンショック時に入社した戦略コンサルタントは激戦を勝ち抜いただけあって、優秀な人が近年入社組より多いと言われている。
さて、ここで戦略コンサルについて定義したい。戦略コンサルはここでは、マッキンゼーアンドカンパニー、ボストンコンサルティンググループ、ベインアンドカンパニー、A.T.カーニ―あたりをさす。新卒就活市場においてはドリームインキュベータ等も難易度的には、今挙げた会社と同等の難易度をもっているだろう。
ちなみに現在は戦略コンサルといっても、ITコンサルと同様の仕事をしていたり、戦略立案だけでなく実行のプロセスまで行ったりする会社も少なくないため、戦略コンサルと総合コンサルの違いがはっきりしない部分があるが、今回は上述した企業を戦略コンサルと捉えていただければよいと思う。
事業会社への転職を見据えてのコンサル就職は?
将来事業会社への転職を見据えて戦略コンサルに行くという人がいる。理由を聞くと、大体の場合こう返ってくる。「色々な業界のことを見られる」と。この話自体は正しい部分もあるが、正しくない部分もある。
まず正しい部分としては、各コンサルティング会社は様々な業界の案件をもっているため希望したら様々な業界のプロジェクトに入る事ができるだろう。一方で、最近の戦略コンサルの若手に話を聞くと業界がある程度若いうちから固まっている。つまり1,2年目でどの業界(インダストリー、プラクティスとも呼ぶ)のプロになるかが決まってくる。
戦略コンサルではないが、例えば、アクセンチュアのMC(Accenture Consulting)所属のコンサルタントであれば明確にインダストリーという形で部門が決まっているため、他業界のプロジェクトにアサインされるときは、異動という形になるくらいだ。
結論として、様々な業界をコンサルに入ると見られるというが、あまり見られないというのが事実である。例外としてITコンサル的なことをメインにしていると様々な業界が見られる。なぜなら、システム導入は業界関わらず規格がある程度決まっているためどの業界でも担当できるわけだ。
以上を踏まえた上で、それでも戦略コンサルに入るべきかについて考えていきたい。
戦略コンサルはファストパス
私の意見では戦略コンサルは、事業会社で良いポジションを獲得するためのファストパスであると考えている。
ファストパスとはディズニーランドに行く方はご存知かもしれないが、列に並ばずに乗り物に優先的に乗り物に乗れるチケットだ。
現在、事業会社の採用側の多くはコンサルタントへの信仰が強い。信仰が強いというのはコンサル出身ならば優秀で、会社に変革をもたらせてくれるだろうということで、年次や年齢に比して高いポジションと給料が得られる。
ベンチャー企業で見かける事例としては、社会人年数が同じ場合に、ベンチャー企業にずっと新卒でいるよりも、中途で入ってきた戦略コンサル出身の人を高いポジションで採用することがある。給与も高い金額を出す。
事実、採用をすすめている企業も、ベンチャー企業を中心に、戦略コンサルを名指して、~で働いているコンサルの人を採用したいといってくる。経営企画のポジションで採用したいというが、採用する側の企業が運営している事業に類する経験は全くいらないという。それだけコンサルなら何とかしてくれるだろうという思いが強い。
こういった環境もあり、ベンチャー企業を中心に、良いポジションを獲得するのであれば戦略コンサルから転職していくのは良い選択肢となっているのは事実だ。
戦略コンサルの経験は起業経験に活きるか?
しかし、戦略コンサルの経験がベンチャー起業で活きるかというと世間一般で言われている通り怪しい。戦略コンサルを経営者たっての希望で採用するが、現場の社員と合わずに、結果として採用に失敗する企業が少なくない。
特に戦略コンサルは上流と呼ばれている戦略立案だけ行い、実行の部分をやっていないため、現場で手を動かすことができないと批判を浴びる。
近年では、学生時代の優秀層がDeNA等の事業会社に流れ始め、優秀な人が早いうちから事業経験を積んでいる人が中途採用マーケットにいるため、ベンチャー企業側としても、同じ東大卒で同じくらいの地頭をもっていそうならばコンサルよりも事業会社にいた人を取りたいという形になる。
戦略コンサルはファストパスといったが、メガベンチャーで活躍した人も、他の小規模ベンチャーに転職する際にファストパスを獲得できるようになったのである。
そのため経営企画を中途で採用する際に、戦略コンサル出身者がいいという経営者と事業会社出身者がいいという経営者が分かれはじめているような印象を受けている。
もちろん経営企画といっても業務が多岐にわたり、M&Aや管理会計よりの業務をする会社もあるため、そういった企業の場合、コンサルや投資銀行出身者の方が採用上有利になり一概にどちらがいいということは言えない。
事業会社への転職は?
もう一点、質問をよく受けるが、事業会社の経営企画のポジションの中で、いわゆる日系大企業も含まれているのかと。現在、どこのファームでもよく聞く話として日系大企業の経営企画への転職は減ってきている。その分、ベンチャー企業の経営企画の方に流れている。
日系大企業への経営企画への転職が減ってきている理由としては、年齢の問題がある。いくらコンサルにいて優秀でも日系大手では、年功序列の制度がある程度幅を利かせるため、年齢がある程度いっている人でないと転職先がない。かつては、新卒の比率が戦略コンサルで低く、30代でコンサルに未経験で転職する人も多かった。
A.T.カーニ―日本代表の岸田氏は35歳で初めてコンサルタントになっている。現在は30歳を超えていると戦略コンサル未経験者はMBAホルダーであってもなかなか採用されにくい。
全体的に若いコンサルタントが増えたため相対的にネクストキャリアとして日系大手の経営企画行きは減ったのである。また、ベンチャー企業側も近年は資金調達が比較的容易になったこともあり、コンサル出身者をとりやすくなった。
タイミングの良い時に事業会社へ転職しよう
さて、以上戦略コンサルから事業会社の経営企画への転職に関して述べてきた。戦略コンサルに入って、事業会社に転職することは可能で、かつ高いポジションと給与を獲得できるが、コンサルでの経験が生きないためタイミングをみて早いうちに事業会社に移った方がいい。
10年以上コンサルにいて急に事業会社に行くのは、厳しくなってくるだろう。また、日系大手へのキャリアパスも減ってきているので、転職先はベンチャーが多いということも認識しておこう。雇用が不安定なコンサルから、同様に雇用が不安定なベンチャーに行くわけなので、のんびりと生きていくのは難しいだろう。
何を志向して戦略コンサルになるか、目的をしっかり決めたうえで入社をするとよいと思う。
転職をする場合は、まずビズリーチに登録しよう。キャリアの可能性が見えてくる。
実際にコンサルティング会社へいきたいと考えがあれば、アクシスコンサルティングをおすすめしたい。