アクセンチュアに関して、様々なインタビューを実施してきた。今回は花形と呼ばれる戦略部門の方にアクセンチュアにおける戦略部門の位置づけおよび、戦略コンサルタントの業務に関して伺った。
現役の方の声というだけあり、アクセンチュアの内部に深く迫って濃すぎる内容となっている。
未経験からコンサルを目指すのであれば、アクシスコンサルティングを利用するのがおすすめだ。コンサル業界に特化している転職サービスなので、十分な対策ができる。
ビズリーチ |
|
マイナビ エージェント |
|
リクルート ダイレクトスカウト |
|
- キャリハイ@編集部
- 「史上最高のキャリア」を目指す方に役立つ情報提供を目指しています。外資系、メーカー、金融、メガベンチャー、スタートアップなど、様々なバックグラウンドを有するメンバーが参画しています。
アクセンチュアは5部門で構成
アクセンチュアの戦略部門はどのような仕事をしているのでしょうか。他部門との違いと合わせてご説明いただけますか。
ストラテジー(戦略)とMC(経営コンサル)の違いについてよく聞かれますが、インダストリー軸によって異なります。
まずは、アクセンチュア組織の概要について説明する必要があります。組織は毎年のように変更されているため、常に変化しているので大まかな説明になります。
アクセンチュアは、会社として
- STRATEGY(戦略)
- CONSULTING(経営コンサル)
- DIGITAL(デジタル)
- TECHNOLOGY(テクノロジー)
- OPERATIONS(オペレーションズ)
という5部門に分かれて会社が構成されています。
以下、STRATEGYを(戦略)、CONSULTINGの中の経営コンサルをMC(Management Consulting:経営コンサル)という形で呼びます。
そしてその部門ごとにインダストリー(業界)別の区分けがされています。
例えばストラテジー(戦略)は
- CMT(Communication Media Technology:通信・メディア・ハイテク)
- PRD(プロダクト:製造・流通)
- FS(金融サービス)
- RES(リソース:素材・エネルギー)
- H&PS(公共サービス、医療関係)
といった区分けです。
区分けに関しては、ストラテジー(戦略)とMC(経営コンサル)では意味合いが少し変わってきます。
ストラテジーはどこのインダストリー(業界)に所属するという考え方が弱く、基本的にストラテジーに所属という形になります。
しかし、MCに関しては逆にインダストリー所属の概念が強いです。
まず、CMT、PRD、RESといった形でインダストリーに所属し、そのインダストリーの中のMCという所属になります。
つまりMCのコンサルタントは、基本的に所属しているインダストリー(業界)の仕事をすることになります。余談ですが、これらのインダストリーの中には、TCと呼ばれるテクノロジーコンサルタントも配置されています。
ストラテジーのほうが、自由度が高いということですね。
実際自由度は高いですが、ストラテジーにいても担当する業界はある程度決まっていきます。
ハイテク関連をやっている人が急に金融のプロジェクトに入ってもこれまでの経験は生かせません。
そもそもプロジェクトに入るための人脈もないことが多いので、ストラテジー内でも業界の縛りは実質的にはあると考えたほうがよいですね。
コンサルティング業界は様々な業界が見られるとあります。
しかし、戦略系ファームであったとしても、一部のファームをのぞいて基本的には若手の間から同じ業界のコンサルティング業務をやる傾向が強くなっていると聞いています。
部門によって、戦略部門とMCの関係がまったく異なる
先ほどあげた、CMT、PRD、FS、RES、H&PSの中で特徴はあるのでしょうか。
歴史的な経緯もあり、各インダストリーで特徴があります。
CMTはストラテジーとMCが比較的大きく分けられている印象です。
ストラテジーは、戦略系の仕事を、MCはオペレーションやIT寄りの仕事をやるといった感じのイメージです。
PRDに関してはMCが戦略寄りの仕事からIT関連の仕事まで全部している印象です。ストラテジーがやる戦略よりの部分の仕事までMCが食い込んでいる形です。
上層部の仲が悪いのもあり、仕事の振り分けが部門でうまくできていない印象です。
またH&PSに関してはH&PSのトップが、実質的にストラテジーとMCを兼ねているといって差し支えない状況のため、実質的にストラテジーとMCがほぼ同じ扱いでアサインを決められている状況と言えると思います。
このように、業界ごとに位置づけが異なってくるので、ストラテジーやMCにいる人は特にどの業界をやるべきかは最初から考えた方がいいでしょう。
CMTは強く分断、PRDはややあいまい、H&PSはほぼ同じといった状態です。FSとRESに関しては現在、かかわっていないため、私にははっきりしたことがわかりません。
Consulting(MC)は業界を変えるのは大変ですね。実際移る人はいるのでしょうか。
います。しかし、異動すると昇進が遅れるしこれまでの社内人脈もリセットされてしまい、いい案件に入りづらくなるので異動しないのが基本です。
異動したい場合は、若手のうちに早めに異動をするのが原則ですね。
かつては戦略部門が要件定義をしたことも
アクセンチュアは戦略以外にも多数部門を抱えていますが、戦略コンサルとは何をする部署なのでしょうか。ITやMC(Management Consulting)、デジタルといったところとの違いを伺いたいです。
一番わかりやすいのがテクノロジーでしょうか。システム導入といったIT関係の案件です。
一方、MCは何でも屋だと思うとよいでしょう。MCは、少なくとも組織としては、戦略立案、システム導入、デジタル、PMI、PMO、アウトソーシングといったすべてをやります。
MCとストラテジーはいわゆる「経営」コンサルの仕事がメインであり、ジェネラリスト的側面が強いので、スキル的に大きな違いがありません。
一方、テクノロジーはITコンサルメインなので、ITの専門性が必要とされるため、全く別物の仕事と思ったほうがいいでしょう。
しかし、昔はStrategyの人間がシステムやアウトソーシングの要件定義をしていたこともあります。
実は私が入社したころはストラテジー所属の方の中にもシステム導入案件をしている方もいました。そのためストラテジーやMC内にもテクノロジーの人と同等のスキルを持った人がいます。
ストラテジーはMCと似ていますが、長期的に人を送り込む仕事ではなく、短期で大きな戦略を考えるのがメインの仕事ということです。
しかし、これはアクセンチュアに限らず、業界全般で言われていることですが、ストラテジーとMC(経営コンサルタント)は、そもそものスキルセットがあまり変わらないこともあり、違いや境目があいまいです。
デジタル部門は様々な部門から人を集めて作った
近年デジタルコンサルティングの領域にアクセンチュアは力をいれているとききますがどのようになっているのでしょうか。
デジタルの部署は元々、ストラテジー、MC、TCの人、中途採用の人を集めてできた新設部署です。
デジタルコンサルタントの中にはプログラミングをする人だけでなく、WEB系のデザインをする人まで様々なスキルを持った方々がいると聞いています。
一方、デジタル内にもストラテジーやMC的な機能をもっています。つまりデジタルコンサルタントという肩書でありながら他部署と同じ仕事があると考えていただいても差し支えないと思われます。
よって、CONSULTINGの部署と似た体制であり、切り方がインダストリーではなく機能で切られていると考えるとわかりやすいかもしれません
ストラテジーでも、デジタルよりの仕事をしているので、実はストラテジー、MC、デジタルで、組織としての明確な区分けがない仕事も多いです。
そもそもデジタル系は、アクセンチュアの強みでもあるので、ストラテジー部門であったとしても、「デジタル戦略」のような戦略プロジェクトは、競合コンサルティングファームに比べて受注しやすいでしょう。
ちなみに、デジタルでプログラミングと言いましたが、これはシステムの仕事とは異なるイメージです。
テクノロジーは要件定義やプログラミングをする人やSIer部隊を抱えています。
一方、デジタルは、例えばアナリティクスであれば、機械学習といった、SAS、R、Pythonなどのプログラミングで仕事をしており、また数学的な素養が必要とされることから、SIerとはスキルが大きく異なります。
戦略ファームと総合系ファームの違いは仕事の範囲
アクセンチュアは総合系ファームといわれますが戦略系ファームと何が異なるのでしょうか?
まず、一般的な戦略系ファームと総合系ファームの違いを述べましょう。一言でいうと、大きな違いは、やっている仕事の範囲の違いです。
まず、戦略系ファームと総合系ファームでは、コンサルタント1人あたりの単価が異なります。
会社によって異なりますが、クライアントが払うフィーは、だいたい戦略系で2倍の単価だと思ってください(これによって、コンサルタントの給与も、戦略系は1.5倍程度になります)。
この単価の違いによって、長期かつ人数が多いタイプの仕事を、戦略系に発注するのが、クライアントの予算上、困難になります。
そのため、戦略系は3か月などの短期であったり、社長案件(社長であれば、決裁権限が大きい)のプロジェクトが増えるのです。
しかし、ここが重要なのですが、別に単価が2倍であったとしても、長期で雇うことができないわけではありません。
クライアントが儲かっており、それだけ予算に余裕があれば、単価ではなく、アウトプットの質でコンサルを選ぶでしょう。
また、戦略系も総合系も必要なスキル自体は大きく変わらないため、結局は、会社ではなく、個々人のコンサルタントの差のほうが大きいのが実情だと思われます。
そのため、戦略系も長期のプロジェクトに取り組んでいるクライアントを持っています。一方、総合系も戦略系の短期のプロジェクトを実施しています。
このような意味で、コンサルティングの仕事の範囲は、戦略系と総合系でかなり重なっています。
しかし、違いも当然あります。一つは、「戦略の中でも、特にピュアな戦略プロジェクト」についてです。
例えば、グローバルM&Aの戦略立案のようなものは、総合系が実施した例を、少なくとも私は聞いたことがないです。
総合系を常用しているクライアントであったとしても、このようなテーマの場合のみ、戦略系ファームに別途発注したりします。
また、仕事の割合も重要です。やはり戦略系は、全プロジェクトに占める戦略プロジェクトの割合が多いです。
一方、総合系は戦略プロジェクトもありますが、やはり「オペレーション系」の仕事の割合が多いです。総合系で戦略プロジェクトをやりたければ、それなりの実力や人脈がないと難しいでしょう。
また、総合系の中でも、会社によって違いが出てきます。これは、総合系が何かしらのアセットを所有していることが多いからです。
例えば、アクセンチュアだと、システム、アウトソーシング、デジタルなどのアセットを所有しており、これらの分野の上流のコンサルティングだけでなく、リアルな実行まで可能です。
そうなると、これらのアセットをうまく導入するためのコンサルティングが多数実施されているため、会社全体として、戦略系のプロジェクトの割合は少なくなるでしょう。
特に、これらのアセット型ビジネスは、アセットをもとに商売をしているため、とてもお金になる場合が多くなり、会社としても重要視している場合が多いです。
システム導入はもちろんですがアウトソーシングセンターをもっていれば、維持の部分までできるため保守点検で儲けるビジネスを展開することができます。
導入1回するよりずっと維持費をとるほうがビジネス的に儲かりますね。
それらの面からも、総合系ファームにおける戦略プロジェクトの割合は小さくなります。
ただし、近年はやや変化しつつあります。
BCG(ボストンコンサルティンググループ)とアクセンチュアを例にとってみましょう。
BCGは元々戦略系ファームといわれていましたが、現在は、過去であれば「ピュアなオペレーションコンサルティング」と呼ばれていたであろう案件にまで進出してきています。
一方、アクセンチュアストラテジーはこれまでのシステムばかりで儲けるビジネスモデルだけでなく、戦略系ファームのように高単価でピュア戦略と呼ばれる部分に進出しようとしています。
今まですみ分けられていた領域にお互いが進出している感じですね。
ビズリーチ |
|
マイナビ エージェント |
|
リクルート ダイレクトスカウト |
|
入社時配属や異動の注意点
新卒はITコンサルとしてスタートすることが多い
新卒はどのような採用になっているのですか?
ストラテジーで毎年20名程度採用している枠であれば基本的にストラテジー所属になります。
一方、多くが採用されている、ビジネスコンサルタント職に関しては、少なくとも1年間は実質的にテクノロジーコンサルティングの仕事を行うことになります。
余談ですが、MC採用は、実質的に新卒では実施されていないと考えて差し支えありません。
つまりITコンサルとしてキャリアをスタートさせる場合がほとんどです。ごくまれに、MCポジションでプロジェクトに配属される新卒もいますが、これは非常に幸運な例だと言えます。
1年たつと、社内制度で、テクノロジーからMCに移動することができます。もちろん全員ではありませんし、入社後一定期間は移動不可能です。
人事から正しい情報が共有されず、勘違いして入る人が多くミスマッチの原因になっています。
いわゆる経営コンサルができると思いきや、ずっとテクノロジーばっかりやっているということが起こり得るわけです。
戦略コンサルにこだわるなら戦略系ファームがおすすめ
また、入社にあたって、1点注意してほしい点があります。
アクセンチュアのような総合系は、プロフェッショナルファームではなく、株式会社であるため、プロフェッショナルの論理ではなく、会社の論理で人事が動かされることがあります。
以前、中途の採用選考時にMCかつ前職の業種に近い部署で内定を得ていたはずなのに、入社当日の研修に参加したところ、TCかつFS(金融サービス)に変えられていたという話がありました。
TCかつFSの人が足りなかったということだと思うのですが、これまでの職歴と何ら関係なく、スキルとやりたいことの両面で全く違う部署に配属されたことになります。
似たような、株式会社の論理で人事が動かされる例は、他の総合系ファームでも聞いたことがあります。
入社時は、自分がどの職位で採用されたのか、またそれについて採用時の契約書に明確に記載されているのかなどを、しっかりチェックすることを怠らないでください。
また、新卒と中途の両方でありえる話ですが、アクセンチュアは組織変更が頻繁に行われるため、入社した直後に、いきなり組織変更に付随する部署移動が命じられる可能性も低くありません。
組織変更なので、能力や成果とは別のロジックで判断されますし、特に入社直後だと、能力や成果の根拠となる評価も実施されていなければ、移動を回避するための人脈もないため、自力で回避するのはほぼ不可能でしょう。
もしどうしても戦略コンサルタントになりたいと強く希望するのであれば、上記のような組織変更リスクをなくす上でも、総合系ファームではなく、戦略系ファームに入社したほうがよいと思います。
少なくとも、戦略系ファームであれば、能力や成果面での退職勧告はあっても、組織変更による移動の可能性は、ほぼなくすことができると思われるからです。
MCからストラテジーへの異動は可能
MCからストラテジーへの異動は可能なのですか?
可能です。テクノロジーからMCへの異動も、MCからストラテジーへの異動もそうですが、やはり人脈があり、推薦してくれるマネージャー等がいたら有利です。
そのためには今いるところで成果をきちんと出すことが大事です。
インダストリー軸(業界)は同じでMCからストラテジーだと、やる仕事は非常に似ていたりするので異動しても大きな問題がないと思います。
個人的な価値観もあるので、あくまで個人的な見解としてお聞きください。まずストラテジーに関しては、CMT(Communication Media Technology:通信・メディア・ハイテク)、PRD(プロダクト:製造・流通)がいいでしょう。
まず、個人的な感覚ですが、特にCMTとRESは、戦略よりのプロジェクトが多い印象があります。
一方、FSは、業界共通でいわれていることなのですが、金融業界で戦略立案といっても、やれることが限られています。
金融でよくある、システム導入や組織改革、PMIといったプロジェクトは、戦略よりの仕事ではなく、どちらかといえばMCやテクノロジーが強い領域になります。
アクセンチュアに限らず、戦略プロジェクトを実施することは業界構造上難しい印象を持っています。
もちろん、この部分は、戦略プロジェクトをどう定義するかに依存するため、人によって大きく意見の異なる部分かと思います。
また、RESやH&PSはアクセンチュア自体がそれほど強くないという背景があります。弱い分野、実績の少ない分野で、面白いプロジェクトを取ることは、一般論として難しいのが実情です。
以上の点から、私は、まずCMTを、次にPRDをすすめています。
戦略部門の中途入社組のバックグランドは多彩
戦略部門にいらっしゃるコンサルタントはどのようなバックグラウンドの方が多いのでしょうか?
他の戦略ファームや総合商社の出身の方もいれば、地方公務員、商社の子会社、システムの会社出身の人まで様々です。学歴も含め、非常に多様な方を受け入れている印象があります。
またMBA出身者もいますが、海外の有名大学MBAではなく、グロービスとか日本にいながら働きつつ単位がとれる海外大MBAの人が入ってきている感じです。
新卒は高学歴が多いですね。中途は色々な人に門戸を開いているイメージです。
総合商社から来ると、給与水準を下げないことが目的なのかほぼ戦略部門配属になっていると思いますが、一般大手メーカーから受けると、個人の能力次第で、戦略部門やMCに割り振られて内定になっている印象です。
部署により年収は異なってくる
部署によって給料はどれくらい違うのでしょうか?
これも毎年変わるため、目安でしかありませんが、アナリストレベルを除くと、ストラテジーは、1職位分、MCやTCより給与が高いイメージです。
つまり、ストラテジーのマネージャーと、MCやTCのシニアマネージャーが同じくらいの給与というイメージです。
ストラテジーのシニアマネージャーになって、2000万円を超える感じです。戦略ファームでは、マネージャークラスで2000万円を超える場合もあるため、アクセンチュアの給与は安いほうです。
MCに関してはコンサルタント一人当たりの単価が特に安いため、給与がある程度までしかあがりません。
昇進スピードが同じだとMCはコンサルタントとしては安い給与になりますね。TCはMCとあまり変わらないと聞いています。
昇進スピードは基本的に同じですので、ストラテジーにいたほうが給与面ではいいですね。
ストラテジーとMCではKPIが異なる
ストラテジーとMCで連携をすることはあるのでしょうか?
連携することは理論上可能なのですが、各部門のKPIが異なります。よって、連携をすることは難しいのが実情です。
具体的にMCをはじめとしたCONSULTINGの部署は、アクセンチュアの売上に貢献する役割を担っています。
会社の売り上げをあげるには、クライアントと長期のプロジェクトを実施し、大量に人を送り込むプロジェクトにすることが大事です。
例えば、PMI(Post Merger Integration)では数年かけて、多くのコンサルタントが客先に常駐します。
また、長期的に付き合うとしたら単価の安いファームが有利になります。
戦略ファームでは、単価がアクセンチュアより2倍くらいあるので、高収益の企業や業界か、よほど親密な関係を築けている企業でない限り、なかなか長期的なプロジェクトにはいってくるのは難しいでしょう。
さてストラテジーのKPIですが、ストラテジーは他の戦略ファーム並みに単価をあげることに挑戦しています。
このようなプロジェクトは、3か月で4人コンサルタントが入っているなどです。2年間で20人入るようなプロジェクトとは性質が異なります。単価をあげるときに矛盾が起こります。
まず、MC側では長期的にクライアントと長く付き合うことを目標とします。
そのため、本当は単価が高くても許される戦略プロジェクトであっても、長期的視点からあえて安く、オペレーションコンサルティングと同レベルの単価で受注することもあります。
しかし、そこで成果を出すことでクライアントから認められれば、良好な関係を築き、次のプロジェクトの時に声がかかりやすくなったり、次の新しいプロジェクトを受注しやすくなります。
また、良好な関係に加えて、そもそもプロジェクトを通してクライアントの業務の現状や課題を知ることができれば、それらの課題をベースにした踏み込んだ提案を行うこともできます。
そのようにして、長期で様々なオペレーションを含めたプロジェクトを受注したり、場合によっては大きなシステムの受注を狙うなどがありえるため、長期的には大きな売上を達成できます。
一方、ストラテジーはそもそもの単価を上げなくてはなりませんし、当然ストラテジー単体で売上目標を達成するためには、短期で高い案件をとらざるを得ません。
そのため、ストラテジーは既存のMCのクライアントに入り込んでプロジェクトを受注しようともうとしても、目的の違いから、ストラテジーは追い出されることもありえます。
そして短期プロジェクトはお客さんとの関係性が悪くなることがあります。よくあるのが、「コンサルは短期的に紙だけつくって実行はしないので何も変わらない」と思われるという部分です。
この種のアウトプットは、社長とかには喜ばれても、現場の手を動かす副部長クラスからは、嫌われてしまうことも多いです。そうなると、長期的なプロジェクトは受注できず、結果として追い出されてしまいます。
アクセンチュアは現場を動かすファームだと期待されている部分があるので、本業たる長期のオペレーションのプロジェクトの邪魔をしてしまっては、本末転倒でしょう。
そのようなことから、アクセンチュアのストラテジーは、いろいろと苦戦している部分があるという印象です。
ビズリーチ |
|
マイナビ エージェント |
|
リクルート ダイレクトスカウト |
|
コンサルティングファームのあり方が変わっている
戦略コンサルは「実行」に弱いのか
戦略コンサルは特に、実行の部分が弱いと聞きますがそういった点に関してはどのようにお考えでしょうか?
最近はTop戦略ファームも長期かつ10人単位で会社にコンサルタントを送り込む例も多いので、戦略だけというのは今の時代においては通用しないのではないでしょうか。
普通に考えて、戦略の立案がよくできていたら、クライアントは実行まで戦略を立てたコンサルティングファームに頼みたいと考えるでしょう。
また、コンサルティングファームのパートナーも、営業ノルマがありますので、可能であれば、実行まで受注したい場合も少なくないと想定されます。
単価の違いについては、一部単純な作業部分を、クライアント社員を複数割り当てるなどで工数を減らせば、コンサルタントの人数を減らすことができるため、理論的には対応できないわけではありません。
また、そもそも戦略プロジェクトを実施した中で得た、クライアント企業への理解や知識から、プロジェクト初期のキャッチアップ工数が大幅に少なくなります。
そのため、より高速でプロジェクトを行うことで、プロジェクト期間を短くすることも可能なはずです。
戦略と実行でそれぞれ使うコンサルティングファームが違うのは、実行が専門的でありそもそも普通のコンサルティングファームがスキル的にできない仕事や、戦略と実行部分であまりに仕事の性質が変わってしまいます。
明確な理由がある場合を除いて、戦略立案をしたコンサルティングファームがクライアントから大きな信頼を勝ち取れなかったため、追い出された場合も多いと想定されます。
コンサルで出世する人の特徴4つ
活躍とは違うかもしれませんが、わかりやすいように出世している人はどんな人かを述べさせてください。
出世している人をみると単なる頭の良さといったコンサルが非コンサルの人から思われがちな「優秀さ」だけではないと思います。もちろん能力が低い方は、すぐにはじかれるので、ある一定以上の能力を持った人たちの中での話です。
出世している人のポイントは4点あって、
- 能力の高い人
- 部下のケアができる人
- 社内政治ができる人
- ハードワークを志向する人
だと思います。
社内政治というのはネガティブな意味もありますが、社内でのコネクションをしっかりもっておくことで、いいプロジェクトに入る事ができます。
他のパートナーの仕事を分けてもらったりと社内でうまくサポートがもらえるようにできるための術です。
プロジェクトの中には、始める前から負けが確定しているようなものもあります。このようなプロジェクトを実施しても、当然うまくいかず評価は低いです。
長時間労働やクライアントとの関係がうまくいかないことから、肉体面、精神面で疲弊することになります。
一方、いいプロジェクトだと、アサインされたコンサルタントの成長に大きくつながるなど、長期的に良い効果を期待できます。
部下のケアができるとは、人間的にいい人で、部下にやらせすぎることがよくないと考え、自分がある程度巻き取って仕事を抱え込む上司はどこかでつぶれてしまうリスクがあります。
また、忙しすぎることから、人脈形成がおろそかになり、より忙しいプロジェクトしか回ってこなくなるなど、長期的な不利益も発生しかねません。
よって、自分も部下もハードワークを志向してしまう人が、プロジェクトとしての生産性を高めることができ、結果として出世していることもあるように思います。
アクセンチュアの強みは総合的パートナーになれること
アクセンチュアストラテジーの強み、およびアクセンチュアの強みというのは何なのでしょうか?
アクセンチュア戦略グループの強みはないと思います。会社単位でみると様々なことができますが、戦略部門単体でとなると、もっとシナジーを効かせない限り、他ファームに比べた優位性が小さいのが現実かと思います。
一方、会社単位でみると先ほど述べたアウトソーシングセンターに代表されるように、アクセンチュアが自前で何でもできます。
今では、システムやアウトソーシングだけでなく、デジタルやアナリティクスにも対応しています。クリエイティブやWEBデザインだって制作できます。
自社でこれほど大きい部隊を抱えているのは他社にはなく、他社にとっては参入コストが高すぎてこれから自社で抱える可能性は低いでしょう。
アクセンチュアは会社として何でもできるため、クライアントの総合パートナーになれることが強みであり、またこの総合的なパートナーを目指していると言えるでしょう。
アクセンチュアにも働き方改革の波が到来
アクセンチュアははたらき方改革で労働時間が短くなったと聞きます。実際はどうなのでしょうか?
労働時間はだいぶ短くなっています。現在は22時の地点でオフィスを見渡すと、だいぶ人がいなくなっています。
また、10年前は土日にもたくさんオフィスに人がいたため、土日でも席の確保が困難でしたが、最近の土日のオフィスはガラガラです。
労働時間に関しては、日本の働き方改革の話とは別にグローバルの方針が大きいです。
日本の労働時間が長すぎるということで労働時間適正化がトップダウンで降りてきていると聞いています。
今後のコンサルティング業界についてどのようにお考えでしょうか?
日本国内に限った話ですが、今後のコンサルティング業界は、全体としてビジネス的にまだまだ拡大余地があります。そこで課題になってくるのは、各ファームがいかに人のレベルを維持できるかでしょう。
現在大量採用の影響でコンサルタントの質の低下が著しくなっています。どこのファームでも採用人数を拡大した影響で、程度の差はありますが、同様の問題が起こっていると聞きます。
質が下がった中から人をプロジェクトにアサインせざるを得ないので、そうなってくると上司にあたるマネージャーのマネジメントスキルが大事です。
これまでは、ドライに使えない方をクビにしてもよかったかもしれませんが、人が足りない状況ではそうもいかないので、育成能力や動機付けが大事になってきます。
クビの基準は下がらざるを得ないので、能力が低い人の割合が増えてきているなというのが印象です。
また、部下の側から見れば、優秀レベルまでいかなくても、1人前レベルのコンサルタントであれば、周りのレベルの低さから相対的に優秀といえるため、仕事や上司を選べる状況になってきています。
パワハラやモラハラがひどいマネージャーでは、噂が回ってしまい、まともな人をアサインできなくなっていくでしょう。
めちゃくちゃがんばらないと就職できなかった時代との変化を感じます。
昇進スピードはどのようになっているのですか?
- アナリスト
- コンサルタント
- マネージャー
- シニアマネージャー
ですが、最初のアナリストが2年で終わり、残りの階級は大体3年毎に昇進していきます。もちろん昇進できずに足踏みしてしまう人もいます。5年ちょっとでマネージャーになれるイメージです。
アクセンチュアの転職先はベンチャーが増えている
アクセンチュアストラテジーの転職先はどうなっていますか?
競合の戦略コンサルや総合コンサルに行くパターンがよくあります。特に、コンサルティング業界の採用が活発なので、競合他社に行く方は多いです。
後は、ベンチャーなどの新興の企業に行く人が多い印象ですね。一方、コンサルのネクストキャリアとしてあげられる大企業の経営企画は、私の周りでは最近少ないです。
編集部注:アクセンチュアへの転職には転職エージェントの利用が必須
大量採用で採用難易度の下がっているコンサル業界だが、転職には転職エージェントの利用が必須だ。ケース問題やフェルミ推定など、コンサルの選考は個人では対策が難しいため、専門の担当者に見てもらう必要がある。
中でもおすすめはアクシスコンサルティングだ。コンサルへの転職実績が豊富で、未経験のコンサル転職にも強い。豊富な転職ノウハウが揃っており、無料で使えるので利用しない手はない。
コンサル志望者へのメッセージ
主体的にプロジェクトを選択する姿勢をもっていただけたらと思います。
残念ながら、コンサルティング会社には、意外にも自身のキャリア意識に疎い方、少なくとも行動を見ると疎いと判断せざるを得ない方が、少なからずいます。
ここでいうキャリア意識とは、コンサルティング会社退職後のことではなく、コンサルティング業界に在籍中のことをイメージしてください。
確かに、コンサルティング会社は、いろいろなプロジェクトがあり、様々な経験を積めるのがいいところではあります。しかし、これは毎回違うテーマのプロジェクトをやるべきという結論にはなりません。
もし、やりたい業界やテーマのタイプがあれば、それに合致したプロジェクトがあるはずです。
それを主体的に選択できる環境やその選択を尊重してもらえるのが、いわゆる日系大手企業との大きな違いであり、外資コンサルのメリットのはずです。
「目の前の仕事を精一杯頑張る」という姿勢だと、確かに能力が高ければ高い評価を得られるかもしれません。
一方でファームにとって都合の良い、ファームにとって使い勝手のよいコンサルタントになってしまうリスクも高いです。
このような方のよくあるパターンとして、長時間労働に疲れた結果、「大企業の経営企画のポジションに移って、もっと労働環境が良い場所で仕事がしたい」といった結論に達する方が少なからず見受けられます。
もちろん、積極的・肯定的な意味で、大企業の経営企画に移りたいのであれば全く問題ありません。
疲れ果てたうえで消極的なモチベーションで大企業の経営企画に行きたがるのは、キャリア選択・プロジェクト選択の失敗ではないかと思います。
コンサルティング業界は、良い業界だと思いますが、コンサルティング業界を出た後のキャリアプランだけではなく、コンサルタント時のプロジェクト選択においても、明確なキャリアプランをもっていただければと思います。
編集部後記
アクセンチュアの方へ取材を実施した。非常に深くまでお話いただいた。戦略部門とその他の部門の差が明確に理解できたのではないだろうか。
組織が複雑かつ常に変化しているということで中で働いている人もキャッチアップできていないそうだ。
アクセンチュアに興味がある方はアクシスコンサルティングとビズリーチに登録するとアクセンチュアから直接オファーがくる。また、転職エージェントでコンサルに強い人が多いのでぜひ登録してほしい。