Vol.1に続き、今回はコンサルティング会社を3社経験した元コンサルタント、現役官僚の方のお話をお伝えする。コンサルティング会社間の転職方法、特にITコンサルから戦略コンサルへの転職方法がご覧になれる。また、コンサルで身につくこと、プロフェッショナル論についても語っていただいた。
ここまででコンサルティング業界への転職を考え始めた人はビズリーチにまず登録しておくとマッキンゼー等からのスカウトメールを受け取ることができるのでおすすめだ。また、未経験からのコンサルティング業界への転職を考えているなら、アクシスコンサルティングにも登録しておくと業界全般の情報を仕入れることができるのでおすすめだ。
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目次
戦略コンサルへの成功要因は「ご縁」と「運」
–戦略コンサルに転職するためのキーとなる成功要因は何でしょうか?
まず、転職に必要な要素は「実力」だけではありません。「ご縁」と「運」が大きな部分を占めてます。
たとえば、アクセンチュアからアビームへ転職した際にも、アビームからマッキンゼーへ移った際にも、僕を引っ張ってくださる方と出逢えたからこそ可能となりました。
僕の場合は、どちらも面接の過程で知り合った方が押してくれたことが強い力になりましたが、人によっては先に転職した人から引っ張られたり、プライベートで知り合った人に指導を受けたり、といろんなパターンがあります。
それは「コネ」とは違います。新卒より転職の方が、こうした要素が強いかなと感じます。
とはいえ、「実力」が無ければすぐに化けの皮がはがれますし、マンガじゃあるまいし、いくらなんでもご縁と運だけでのし上がっていくのは無理でしょう。「実力」にはいろんなものがあります。
たとえば、国内市場が飽和し、成長戦略を考える上で海外市場を見ざるを得ない今、英語は必須です。たまに「あいつは英語はできるけど、仕事はできない」なんてやっかみみたいなことを言う人がいますが、英語ができない僕に言わせりゃ、英語ができれば大したもんです。謙虚に勉強すべきです。
ある程度の英語力(を証明する資格)だけでなく、面接で見せる論理思考やプレゼン能力、話した時の面白さといった面も「実力」として評価されるのだろうと思いますし、エコノミストやハーバードビジネスレビュー、ダイヤモンド誌やネットニュースなどにひととおり目を通して情報に目を通しておくと、いろんな話題についていけたり、自分の考えを深めておくことができると思います。
しかし、「運も実力のうち」という言葉がありますが、「キーパーソンとの出会い」と「こいつと一緒に働きたいな」と思ってもらえるフィーリングの合致といった運の要素がかなり必要なのです。同じ話をしても相手によっては受け取り方が変わりますから。
そして、その「ご縁」や「運」をつかむためには、日頃から準備しておくことが大切なのだろうと思います。「ご縁」や「運」は突然転がってくるものですから、常に準備しておくことが大切です。
自分の職務経歴書や英語のCV(履歴書)を定期的に見直して、自分の市場価値を意識しておいた方がよいです。
ヘッドハンティングの会社(転職エージェント)や転職サイトにも登録しておけば、定期的にヘッドハンターの方に会うことができます。僕はキャリアインキュベーションという会社に登録してました。
ヘッドハンターの方も非常に知見が深く、僕の市場価値についてもずばずば言ってくれるので、毎回会うのが楽しみでしたよ。
たくさんの人と会ってれば、フィーリングの合う人に出会う機会も増えます。ぜひ運を味方につけてください。タイミングは自ら計るというより、向こうからやってくるイメージです。
転職のチャンスが来たら即動くべし
–転職はどれくらいのタイミングで考えるのがよいでしょうか?
「石の上にも3年」という言葉がありますが、キャリアを考える区切りとしては、3年という期間はちょっと長いかなというのが僕の感覚です。かといって、毎年のように転職しているのもおかしな話です。
僕は、自分の人生を2年ごとの区切りで考えています。転職のタイミングは1年以上在籍すれば,あとは先方からのオファーがあったら移る,くらいのノリで問題無いと思います。チャンスが来たら、やらない理由を考えずに即動いた方がよいです。
失敗したって、起業したりボクサーやミュージシャンになろうとしているならともかく、所詮雇われる立場の「リスク」なんて大したことじゃありません。
タイミングと言えるかわかりませんが、できれば、ネガティブな動機ではなく、自分の中でポジティブな動機が生じた時に転職した方がいいです。たとえば、周囲を見渡すと、「今の職場のXXがイヤ」という理由で転職する人も少なくないですが、そういう人は次の職場でもやっぱり文句を言ってるような気がします。
パワハラなど、我慢できないような状況にある場合にはさっさと逃げた方がよいでしょうけど。
今の職場にある程度満足しているなら、転職する必要はありません。そういう方はこのサイトを見てないかもしれませんが・・・。
同じ職場でも部署や立場が変わればやることも大きく変わるでしょうから、そっちの道を模索するのもよいでしょう。
ただ、これから先行き不透明な社会になりますから、一つの会社にずっと在籍するのが普通・・・という時代は終わりました。
多くの人にとって転職はせざるを得ないものになりつつあります。若いうちに転職を一度経験しておいた方が、視野も広がるし、自分の市場価値を意識するようになり、よいかもしれませんよ。
–コンサルティング業界に強いヘッドハンターの見分け方はありますか?
僕は、グーグルで「コンサルティング、転職」で上位に出てきたところに登録しました。「見分け方」というよりは、いくつか登録して、実際に人に会ってみて、フィーリングの会うとこが結果として残りました。
ただ、転職エージェントの中には、たしかに合わない人もいます。こちらの話をあまり聞かずに、いろいろな企業を一方的に突っ込んでくる人は早めに変えてもらった方がいいです。
転職エージェントの報酬は、転職先のポジションの年収の何割といった風に決まってるので、とにかく成約を出すことを目標にしている人も多いです。
こうした押し売りのような仕事の仕方はあまり好ましくないですし、その人と会って話してる時間がとても苦痛ですし、なにより、目的であるキャリア設計のためにもプラスにならないので無駄です。
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コンサルへの転職において大事なのはコンサル卒業後のプラン
–コンサルティング業界の転職において最も大事なことは何でしょうか?
コンサルティング業界に転職するにあたって最も大事なことは、自分がそこで何をしたいのか、またコンサルティング会社を「卒業」した後に何をしたいのか、を常に考えておくことかと思います。
それは別に自分の人生の長期ビジョンをきっちり作れ、と言ってるわけではありません。先行き不透明な時代に10年後の自分を想像せよ、と言われても無理ですが、現段階において、自分をやる気にさせるモチベーションが具体的にある方が逆境に陥った時にも強い、ということです。
コンサルティング会社は「激務」ですし、そこで一生を過ごす人はほとんどいませんから、将来が不安になりがちです。したがって、強いモチベーションや目標があった方が、自分を鼓舞しやすいですし、周囲ともうまくやっていけるかなと思います。
だから、「入社することが目的」だと、入社後に苦労するかと思いますし、面接官もそれがわかっているので、「こいつ、入社するのが目的になってるな」と感じたら、なかなか採用しないと思います。
コンサルタントは「プロフェッショナル」な職業です。特定の組織に属するのではなく、自らの技量や能力を用いて食べていく職業です。したがって、モチベーションの維持も会社に頼るのではなく、自分自身の責任なのです。
やりたいことは抽象的でよい
―プロフェッショナルとはいったい何なのでしょうか?
形容詞である「Professional」の動詞形は「Profess」です。意味の1つは「宣言する」です。
「私は~ができます」とPublicに宣言し、自分ができるといったことで価値を出していこうとする職業がプロフェッショナルです。
とはいえ、コンサルタントは医師や弁護士のように役割が一般的に明確ではないですよね。田舎のおばあちゃんからすると、実に胡散臭い職業です(笑)だから、常に周囲から「何ができるの?」と問われ続けます。
周囲から何ができるかと問われ続けることによって、コンサルタント自身を強くします。自分がどういった分野で勝負するのか、自分の存在価値は何なのか、を日々考え続けることになるでしょう。そして、それはいろんな仕事で様々な問題解決に挑戦し、トライ&エラーを繰り返すことでわかってきます。「あー自分は何度やってもこれが苦手だな」「これはいける!」という感覚です。
–「やりたいこと」が見つからないという人はどうすればよいでしょうか?
やりたいことが無い人なんて、いるんでしょうか?たとえば、「何もせずにぼーっとしたい」というのも立派な「やりたいこと」ですよね。
もしそうなら、きちんとお金の勉強をして、ぼーっとしてても稼げるように資産形成をしていく必要があります。
「大好きな人と一緒に静かに暮らしたい」というのも、激動の今の時代、なかなか難しい夢だと思いますよ。そのためには何が必要なのか、をきちんと考えることが必要です。
残念ながら「ぼーっとしたい」という夢でさえ、ぼーっとしていては実現できないのです。ぼーっとしていたら、一生会社に使われるだけ使われて、税金をとられるだけとられて、下手すりゃ婚期まで逃して、年金も期待してたよりもらえない・・・という人生が待っています。しっかりと学び、考え、実行していかないと何もつかめません。
やりたいことは、超具体的に設定する人もいれば、抽象的に設定する人もいるでしょう。僕は、やりたいことは抽象的でよいと思います。
10年後や20年後の自分や社会なんて、想像なんてできっこないですから。漠然と、自分は「こういう時に楽しいって感じてるな!」とか「こういうことやってみたいな!」とかでいいんですよ。それに基づいて、2年くらいのスパンで、具体的な進む道を考えてみる。これでいいんじゃないですか。
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自分の身を守る最大の保険は、自分の市場価値を高めておくこと
コンサルティング業界にいてよかったことは何でしょうか?
まず、ジェネラル・スキルを鍛えることができたことです。資料を作ったり、データを分析したり、人と交渉や議論をしたり、というのはどんな仕事でも必要となるスキルです。また、いろんな業界で様々な仕事をすることで、浅く広く社会のいろんなことを知ることになります。
また、「激務」を通して自分の体力の限界やパフォーマンスを上げるための工夫も身につきます。たとえば、僕は睡眠がものすごく大事だとわかったので、今では一日7~8時間は寝るようにしています。何も知らないところからなんとか価値を出そうとするマインドも学びました。新しいことをやるのにさほどストレスを感じなくなりました。
一般的な会社に比べると、若いうちにある程度のお金を持つことができ、投資に回せたのもよかったです。年功序列の会社だと、20代の給料が低くて、会社の寮に入っても、貯金が難しかったりしますよね。
そうすると若い時代に自由が得られません。自由があれば、飲み会にもたくさん行って人脈開拓もできやすいですよね。コンサルティング業界は激務ですが、割と時間の融通が利くので、朝9時から夜中までずっとオフィスにいなくてはいけない、という働き方はしません。
自分がやりたいこと、正しいと思うことを主張するためにも、正直ある程度のお金は必要です。たとえば、金持ちが政治家に向いているか、貧しい人が政治家に向いているか、というのはよくある議論です。
僕は、先祖代々土地持ちで寝ててもお金が入ってくる・・・なんてレベルの金持ちが政治家に向いてるとは思いませんが、「議員でなくなっても、1~2年くらいだったらなんとかなる」程度のお金はある人でないと、議員の席にしがみつくために自分の主張を曲げたりするんだろうな、と感じています。
これくらいなら、努力でなんとかなるはずです。自分の生き方に合わせて、お金のことも早いうちから考えるようにした方がよいと思います。
話は少しズレますが、激動の時代に自分の身を守る最大の保険は、自分の市場価値を高めておくこと、真に困った時に助け合えるよい仲間を作っておくこと、そして早めに資産形成をして何かあった時に自分を守ってくれるお金の仕組みを作っておくこと、の3つだと考えています。
コンサルティング会社のキャリアはこの3つを同時に満たしやすいです。どれだけ満たせたか、はわかりませんが・・・(笑)
編集後記
本編では、コンサルの転職に備えてすべきことを伺った。基本的なことばかりだが激務の合間にCVをアップデートしておくことなどは忘れがちになりそうなので気を付けたい。
また、転職は縁と運と同時にタイミングが来たら即動けという言葉が印象的だった。転職サイトはインターネット検索をして登録しているが、現在はビズリーチがよく検索されている。
ビズリーチは戦略コンサル会社が採用につかっているツールでもあるので登録だけでもしておくとよい。CVの管理もしやすくなっているのでおすすめだ。
更に、併用するのに良いのがアクシスコンサルティングだ。コンサルティング業界を専門に求人を取り扱っているので業界にとても詳しい。
今回登場した元コンサルの方に質問があれば「お問い合わせ」からお問い合わせいただきたい。別回で記事形式で回答するかもしれない。内容によっては直接回答する。
第三弾はこちらから。