過去2回お届けした元戦略コンサルタントの第3回だ。前回は転職のアドバイスをいただいた。今回も転職のアドバイスやコンサルタントで生き残る人の違いについて述べてある。マッキンゼー、アクセンチュアでの現場経験を踏まえてのコンサルタントの仕事論についてご覧いただきたい。
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目次
面接はできるだけたくさん受けよ
–転職に関するアドバイスはありますか?
まず、情報収集です。興味のある会社が見つかったら、ウェブサイトなどでその会社の基本理念やどういった人物を求めているか、をしっかり理解した上で、エントリーシートなどを書いてください。企業は必ず人事担当者に採用の基準や方針を与えるはずです。
面接官のノリで適当に人を採用しているわけではありません。その基準や方針は、会社の基本理念に沿ったものであるはずですよね。だから、それをしっかり踏まえて自分をアピールすれば、面接官としては「落としづらい」んです。
エントリーシートを書く際には、質問に答える、具体的な事例を挙げる、あなたの人物像を伝える、の3点を考えてください。教科書に書いてあるような一般論や抽象論はほとんど相手に刺さりません。
頭の良い人や経験を積んだ人ほど、個々の事象ではなく一般化した理論を好みがちですが、読む方は眠くてたまりません(笑)
面接は場数ですから、なるべくたくさん受けてください。仲間同士や先輩と練習するのもいいと思います。働きながらではなかなか時間をとることも難しいかもしれませんが、いろんな話も聞けるし、面接することはいいことです。
面接官に質問するときには、なんだか作ったような質問をするのではなく、本当に聞きたいことを聞いてください。新卒に比べて、転職の際には割とお互いにぶっちゃけて話をします。
転職方法という点では、転職するときは,次の仕事を決めてから今の会社を辞めることをオススメします。もちろん、友人の中にも次を決める前にすぱっと辞めてしまった思い切りの良い友人もいます。
彼は今もうまくやってるし、人それぞれの人生なので、別に悪いとは言いませんが、一度辞めてインターバルが空いてしまうと、そこを突っつかれてしまうので、自分を高く売りにくくなるように思います。
何より不安でせっかくの自由な期間を楽しめなかったらつまらないではないですか。転職した後も現場感覚が鈍ってしまい、新天地でのスタートでつまずいてしまうと、苦労してしまいます。
せいぜい一ヶ月か二ヶ月くらい、旅行に行ってみる程度のお休みにしておいた方がいいかなと個人的には思います。もちろん、留学や世界旅行や子育てなど、具体的なやりたいことがあれば、全く問題無いと思います。
あと、辞める会社に対しては、失礼が無いようにしましょう。あなたは「キャリアアップ」だと浮かれているかもしれませんが、去られる会社からしたら、それはどう感じるでしょうか。
別に僕は協調性を必要以上に重視したりはしませんが、誰にも他人のキャリアや生き方を否定したり、不愉快な思いを与えたりする権利は無いはずです。伝え方や伝えるタイミングについては考えましょう。時には「嘘も方便」です。
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ポストコンサルはファンド、VC、事業会社、NPO、起業等
–コンサル会社を卒業した後のキャリアはどんな道があるのでしょうか?
これはもう「人それぞれ」ですが、僕のように公の世界へ進む人は珍しいです。多いのは、普通に別の会社に転職するパターンです。
身の回りを眺めると、ファンドやベンチャーキャピタル、製薬会社やIT企業なんかに行く方が多い気がします。あとは、ベンチャー企業を起ち上げたり、NPOの代表をやる人もいます。
今は、どこも人手を求めてますから、「絶対にこの会社がいい」とかこだわりがなければ、仕事は必ずあります。
だから、もっと自分のやりたいことに対して素直になるべきです。そして、それを実現するためのスキルとお金の計画について、具体的に考えた上で、人それぞれのタイミングでえいやっと飛び出せばいいのではないでしょうか。
–コンサル会社って結局何が違うのでしょうか?
まず、前提として、「外資」や「コンサルティング」という大きすぎる区切りだけで特徴を語ることは不可能です。「公務員」と一括りにしてもいろんな業種や仕事があるわけで。
業務内容や仕事の仕方はそりゃ個別の会社によって、また扱う商品や業界によって、部や課や上司によって違うのは当たり前です。「激務」というのも、会社によって様々ですし。
外資というのは外国資本がどの程度入っているか、コンサルティングというのは特定の事業を営むのか、ほかの会社に期間限定で入る「高給派遣」みたいなもんなので、どちらかといえば、業態によって決まります。
たとえば、コンサルティング会社で働いていた時、クライアントが素材メーカーや自動車メーカーだった時には、私も早朝から工場へ出社し、皆さんと一緒にラジオ体操をしたりしてましたよ。
自動車の組み立て工場の中にスーツで入って歩いていたら、ビリビリッと音がして、ズボンが破れていたこともあります。
情報を集めて、考えて、資料を作って説明し、その結果として何かを動かす。プロのホワイトカラーの仕事なんて、どんな仕事もそう変わりません。
コンサルティング会社を選ぶ時には、そこで働いている方と何人もあって、自分とフィーリングが合うかどうか、という基準で判断した方がよいかなと思います。
他の業界の会社と比較したコンサルティング会社の特徴を、僕の体験談だけであえて語るとすれば、誰もが終身雇用を前提としていない点では転職もしやすいし、同僚にも職場を離れた将来の夢やキャリアを相談しやすい環境があったかなという点だと思います。
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ファクトベースで考えることが重要
–コンサルで生き残る人とそうでない人の違いはなんでしょう?
僕は結局トータルで6年半しかコンサルティング会社では働いていませんし、また別にずっと「生き残りたい」とも思っていなかった人なので、僕自身の経験談というよりは、周囲の人を観察した結果を述べます。
まず、コンサルタントの仕事に求められるものは、論理思考、英語力、プレゼンテーション能力といったスキルが求められます。
マッキンゼーは英語が世界共通の言語として当たり前のように使われており、グローバルで一つの共通の知識/知見を有しています。働いた3社の中でも組織と人の洗練具合が群を抜いていました。
周囲が求めるプレッシャーに応えるべく日々苦しかったですが、米国、中国本土、南アメリカ大陸、シンガポール、日本も東京を皮切りに関西地方や九州地方まさに日本全国を飛び回りました。各地で自分を成長させるための経験を積むことができました。こうしたことを楽しめるかどうか、でしょうか。
一つ,大切な思考法を挙げるとすれば、「ファクトベースで考えること」です。一般的にコンサルタントという職業は、若い世代が多いです。一方、クライアントは40~50代、時には60代のマネジメント層(経営層)ですから、自分よりも知識も経験も高い方を相手にフィー以上の価値ある提言をする必要があります。価値ある提言をするための大前提として「ファクト=事実」に基づいて話をすることです。
ファクトに基づいた提案は、保有する知識量や立場や経験値に関係なく説得力をもたすことができます。そこがしっかりしていないと、決して自分より強い権力者に太刀打ちすることはできないと思います。そして、これが苦手な人は生き残ることが難しいかもしれません。
個人的にはコンサルティング会社で「生き残る」なんてことを考えるよりは、この社会においていかに自分らしく楽しく生きるか、を考えて欲しいですね。
そして、会社をいかにうまく利用するか、を考えることが大切です。
会社側だって個人を利用してるんですから、こちらも会社を積極的に利用しましょう。大切なのは、自分をしっかりと持つことです。コンサルティング会社には厳しい評価があります。評価があれば、人はそれを気にしますから、他人の尺度に人は偏ってしまう。
ただ、他人からの評価なんて常に一面的だし、絶対的に評価することなんてできませんよね。だからこそ、そこで偏らないだけの自分をしっかりと持っている必要があります。
マッキンゼーでも定期的な評価はありますが、それはあくまでもその人を「育てるため」にやるのであって、「首を斬るため」にやってるわけではないと感じました。評価はあるべきですが、その評価を受けた時にどう感じ、どう活かすかは自分次第です。
コンサルタントはお客様を満足させることを最大限に考える
–コンサルティングという仕事において最も重要なことはなんでしょうか?
コンサルタントはサービス業だということでしょうか。結局、サービス業である以上、学者ではありません。相手の価値を高めることを通じて、お客様を満足させることを最大限に考えることが最も重要です。
Client Firstという言葉があります。マッキンゼー内で根付いている理念です。きちんと「クライアントは誰か?」を意識しながら、価値を出していく必要があります。忙しさの中でプロジェクトに入っていると、気づかないうちにプロジェクトのマネージャー(=上司)がクライアントだと勘違いしてしまうことがあります。しかし、コンサルタントはクライアントがが求めていることは何かを考え続けなければ、真に優れたソリューションは出て来ません。
働き方としては、外資系はたしかに柔軟で自由な部分もありますが、激務であることも事実です。それを「プロフェショナル」という言葉で誤魔化しているところもある。
戦略を立案するって聞くと、なんだか操縦席に座ってヒトやカネを動かしてそうな華やかで偉そうな仕事に聞こえるかもしれませんが、地道なヒアリングや細かい分析、お客さんとのコミュニケーション、莫大な知識を一気に詰め込むガリ勉や、時には夜明けまで延々続ける泥臭い思考が求められるのであって、けっして楽しいばかりの仕事ではないことを痛感しました。
あと、コンサルタントはしょせん社外の人間だから、「実行をせずに提案書だけ書いて口だけでおわっている!」と批判する人もいるのですが、批判している人の多くはコンサルタントの仕事をあまり知らないのだろうなぁと思います。
マッキンゼーの話をすると、所属しているコンサルタントは「Engaged Performance Review(EPR)」と呼ばれる事前に設定された評価基準が存在します。その事前の基準によってクライアントやマッキンゼーのメンバー、マネジャー(上司)から評価されることになります。まさに360度評価です。
仕事のアウトプットは評価され続けます。もし、アウトプットの評価が低いと「Up or Out」の原則に従って、会社を去らざるを得ない厳しい環境でもあります。
僕は、約6.5年間をコンサルタントとして働きました。コンサルタントの仕事の中でただ単にレポートを出して終わり・・・という仕事は全くありませんでした。
世の中には役に立たないコンサルタントのレポートが存在しているのは事実でしょうが、そのレポートを書いたコンサルタントはたぶんそれなりの厳しい評価を受けてるのではないかと想像します。
コンサルタントは理不尽さへの耐性が低い
–政治や官公庁での仕事にはコンサルティング業界の経験は活きるのでしょうか?
人それぞれの考え方にもよると思いますが、僕は「活きる」と思います。というより、「活かす」んだと思います。雇われた、ということは「期待」されてるはずですし、活かさないと新卒と同じになってしまいます。
どんな道であれ、それが自分のアイデンティティである以上、意識するにせよしないにせよ、自分が得てきたものを活かさざるを得ません。前述のとおり、コンサルティング会社で学ぶスキルはジェネラル・スキルが多いので、割とどこへ行っても活かしやすいと思います。
–逆に、コンサルティング業界の経験が障害になったりすることはないのでしょうか?
コンサルタントは「頭を良さそうに見せる」ヒトが多い気がします。こんな態度はリーダーになると通じないですよね。これだと人がついてこない。
ジェネラルスキルが高いということは、逆を言えばスペシフィックな知識・スキルに乏しいわけで、新卒メインの組織に転職すると、どうしても同年代より遅れてしまうこともあります。もちろん、そういうとこに転職しなければいいのですが。
また、合理的な組織になれているので、理不尽さへの耐性が低い傾向もあるかなと感じます。実は、世の中、論理性だけで説明できたり解決できることって少ないんですよ。それが人間の社会なんです。真の問題解決は、綺麗な資料やかっこつけたプレゼンじゃ解決できません。
コンサルタントとして培った知見は活かしつつ、常に成長を続けていきたいものです。
-ありがとうございました。
編集後記
今回は、新卒でアクセンチュア、その後アビームコンサルティング、マッキンゼーでのコンサル経験を踏まえ、コンサルとして活躍するために大事なエッセンスが非常に詰まっている内容となっていた。3回分非常に濃い内容をお届けできたと思う。
マッキンゼーやアクセンチュアをはじめコンサル転職に関心がある人は、アクシスコンサルティングに必ず登録すべきだ。コンサル業界に特化した対策を教えてくれる。
コンサルだけではなく、外資系企業などハイクラス求人を中心に見たいという人であれば、ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトも併用しよう。