大手総合商社は非常に人気がある。年を追うごとに総合商社の人気はあがりつづけトップ大学内でしのぎを削る戦いになっている。
そのなかで短期間で効率的に就職活動をして総合商社から内定を獲得した学生に内定までのプロセスを語っていただいた。そして出遅れた就活学生にとっても大変役に立つ内容なのでご覧になってほしい。
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- キャリハイ@編集部
- 「史上最高のキャリア」を目指す方に役立つ情報提供を目指しています。外資系、メーカー、金融、メガベンチャー、スタートアップなど、様々なバックグラウンドを有するメンバーが参画しています。
総合商社への強い思い
-経歴を教えて下さい。
2018卒総合商社内定者です。大学在学時は社員40人規模の教育系企業でインターンをしていました。大学のサークルやゼミには所属していなかったため、大学生活の中心はインターンでの活動でした。
大学在学時から将来はグローバルに活躍できるビジネスマンになりたいと考えていました。そこで、国籍や文化の違う人々をまとめられるリーダーシップ、英語力、異文化適応力を身につけることを目標に、大学4年次にアメリカの大学に1年間留学をしました。
-教育系の企業でインターンをしていたとのことですが、教育系の企業に進むということは考えなかったのですか?
いいえ、全く考えませんでした。そもそも教育には全く興味がありませんでした。大学入学以前まではスポーツや勉強など、何かしらの目標を持ちながら、それに向けて生活していました。
しかし、大学入学後は目標もなく、なんとなく生活していました。そんな生活に嫌気と今後への危機感を感じて、「何か目標に向かって打ち込めることをしよう」と考えていました。
そんな時にインターンの求人を見つけ、インターン先の売上目標などの達成のために必死に取り組んでみようと思って参加しました。そのため、インターン先の事業領域は特に気にしていませんでした。
-それではなぜ総合商社を志望するようになったのですか?
理由は主に2つあります。
1つ目は日本発のモノを世界に広めたかったからです。私は大学在学時に一人旅で様々な国を訪れました。訪れた国で日本発の製品やサービスが利用されているのを見て、日本人としてとても誇りに思うと同時に、もっと日本のモノが広がる可能性があること、そして私自身の力でもっともっと日本のモノを世界に広めたいと思うようになりました。
2つ目はゼロからビジネスや仕組みをつくりたいと思ったからです。私は留学中にゼロから企画をしてイベントを開催するなど、自らが中心となって新しいことを始めることが好きでした。総合商社は特定の商品やサービスがないからこそビジネスチャンスを自ら見つけ出して、それらをビジネスにするためにゼロから形にしていく仕事ができると考えました。
この2つの理由から総合商社を志望していました。
–ありきたりな志望理由に感じますが、志望理由はどのように差別化したのでしょうか。
志望理由自体はありきたりでも良いと思います。社会に出ていない学生が考える志望理由は複数にパターン化します。しかし、私も選考前は差別化しなければならないと焦っていました。
志望理由だけを朝から晩までずっと考えて、結局差別化できるような志望理由が思い浮かばないという日が何日もありました。しかし、いくら考えても自分のやりたいことは変わりませんでしたし、それがまさに総合商社に行きたい自分の志望理由だということにゆるぎありませんでした。
そのため、結局、面接では前の質問でお答えしたようなありきたりな志望理由で臨みました。ただ、私は、なぜそう思うようになったのか、なぜそれが商社でしたいのか、自分のしたいことが本当に商社で出来るのかが論理的に成り立っているのかは何度も確認しました。
私の両親も総合商社に関する本を読んで勉強してくれ、自分のやりたいと考えていることが商社がやっていることと矛盾していないかを、両親と何度も何度も確認しました。
実際の面接では、面接官から志望理由に疑問を抱かれるということはありませんでした。これは面接官によると思いますが、私の場合は志望理由というよりも人物性などの他の部分が重点的にみられていたと思います。内定をいただいたすべての面接を通して志望理由を深堀されることはありませんでした。
ただ、これは本当に人それぞれなので、志望理由も他の人物性を問われる質問にも論理的に矛盾のないような回答を準備しておくことは重要だと思います。
面接解禁2か月前から就活開始
-就職活動を始めた時期を教えて下さい。
大学4年次の3月下旬です。留学から帰国したのがこの時期でした。志望する総合商社の面接まで約2か月しかなく、帰国後すぐに就活を始めました。
-かなりギリギリから始めたのですね。他の就活生に比べて始めるのがかなり遅いと思いますが不安はありませんでしたか?
あまり不安はありませんでした。留学開始前から6月の面接解禁までに間に合えばいいかなくらいで考えていました。さらに、最初から私はほぼ総合商社に絞って就活をしていたので、面接まで2か月しかなくてもそこまで忙しいとは感じていませんでした。
-3月帰国後はどのようなことをしていましたか。
主にSPI対策とOB訪問をしていました。私は筆記試験がとにかく苦手でした。しかし、志望する総合商社は筆記試験のボーダーが高いとの噂でした。
「どこそこの外資系企業のSPIが通れば9割取れているから安心」といった情報もたくさんありましたが、私が帰国した頃は外資系企業の選考はほとんど終わっており、自分のSPIの点数がどのくらいかを測る指標がなく常に不安でした。
そのため、OB訪問や企業の説明会に参加している時間以外はSPIの対策本で繰り返し訓練していました。また、ESを提出しなくてもSPIを受検できる企業にエントリーし、自分が納得いくまで繰り返し受検しました。
-OB訪問は何人くらいの方にしたのですか?
総合商社の方を中心に15人ほどしました。
-OB訪問する人はどうやって探したかを教えてください。
主に大学のキャリアセンターにあるOB・OG名簿から連絡先を入手して、電話やメールで直接連絡をさせていただいていました。キャリアセンターに名簿がない企業の場合は、友人や知人を介してその企業で働いている方を紹介していただいていました。
また、実際にOB訪問をさせていただいた方の同期や知人の方を新たに紹介していただいたりもしました。
-OB訪問をしてよかったと思いますか?
OB訪問をしてとてもよかったと思います。総合商社のやっていることは多岐にわたり、完全に理解することは難しいです。総合商社に関する本などを読んで理解できなかった点を質問して解決する場としてもOB訪問を利用していました。
また、OB訪問は選考対策としても有効でした。社会人1年目の方などには実際の面接でどんなことを聞かれたか、どんな点が選考で評価されたと思うかなどをお聞きして、私自身の選考対策に役立てていました。
-どのような本を読んでいたか教えていただけますか?
『日本の成長戦略と商社:日本の未来は商社が拓く』『図解入門業界研究 総合商社の動向とカラクリがよ~くわかる本』などを読んでいました。これらを読むことで総合商社への理解が深まり志望理由等をより深く考えるのに役立ちました。
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徹底した選考対策
-自己分析はどのようにされましたか?
まずは書店で販売されている自己分析本を1冊購入して、一通りの自己分析をしました。その中で不十分だと思う点や自分ではどうしても思い出せない点などは、友人や両親に電話をして逐一尋ねていました。
そして、その自己分析をもとに面接で聞かれそうな質問の一問一答集を作成しました。面接開始の6月まで時間があればその一問一答集を見直して、面接官に深堀されそうな部分や相手に伝わりにくい部分などを修正するということを繰り返していました。
-面接対策はどのようにしましたか?
実際に面接をする機会をできるだけたくさんつくるようにしていました。私は留学の奨学金の選考などで就活以前から複数回面接を受ける機会がありました。その時に感じたのは自分のことを言葉で相手に理解させることはとても難しいということです。
自分のことをうまく言葉で伝える力を向上させるには、実際に話してみて相手が府に落ちていない点などを相手に伝わりやすい表現や構成に修正することを繰り返す必要があると思いました。
そこで、私は全然世間に知られていない小さな企業だとしても面接をしてくれると聞けば選考に応募して、実際に面接をして、自分の至らない点や不十分な点を修正するということを繰り返していました。
さらに、4月中旬から6月まで離れて暮らす両親と毎日2~4時間テレビ電話をして模擬面接をしていました。
-面接で話す内容はどのように工夫していましたか?
それぞれの企業が就活生に求める能力を探って、その能力が自分にあることを証明できるエピソードを探し出して話すようにしていました。
一括りに総合商社と言っても、ある企業はスマートに仕事をこなす人を求めており、ある企業は泥臭く仕事をこなす人をもとめているなど、企業によって就活生に求める能力は微妙に違います。
各企業の新卒採用ホームページに掲載されている社員の方々のインタビューや、OB訪問での社員の方のお話から総合商社の仕事で一般的に求められる能力とそれぞれの総合商社で求められる独自のカラーや能力を見つけ出すようにしていました。
そして、それらの見つけ出した能力が自分にあることを証明するためのエピソードを自己分析から探しだし、そのエピソードをそれぞれの総合商社毎で使い分けて話すようにしていました。
希望の総合商社内定獲得
-6月からの本選考はどのようでしたか?
6月の面接解禁後は4つの総合商社と日立製作所の面接がありました。6月の面接解禁までは模擬面接の練習としてベンチャー企業や中小企業の選考を受けていただけなので、内定は一つもありませんでした。
総合商社は選考を通過していると、面接当日に連絡がくるので、ずっとスマホを握りしめていました。
総合商社4社のうち1社は一次面接、2社は二次面接で落ちてしまいました。日程的に最後に残った総合商社のみ順調に選考を突破することができ、面接解禁4,5日後に内々定を獲得することができました。
日立製作所は順調に選考を突破していましたが、総合商社の内々定が出たので、最終選考を前に選考を辞退しました。
-人気のある商社とメーカーのみで不安はなかったのか?
不安はあまりありませんでした。私は大学2年次頃から将来は日本企業の中でグローバルに活躍できるビジネスマンになりたいと考えていました。
その頃からグローバルに展開する日本企業の社長をはじめとして様々なグローバルに活躍するビジネスマンの方の講演会に参加する、本を読むなどして、どのような能力がグローバルに活躍するために求められているのかを模索していました。
そして、そこで見つけた自分に足りない能力を身に付けることを意識しながら行動していました。そのため、就活でも今まで自分がやってきたことや磨いた能力があることを伝えることができれば、最低でも1社からは内々定をいただけるだろうという自信がありました。
また、そもそも他の企業に応募する気になれませんでした。企業のES締め切りが集中する4月下旬以前はデベロッパーや日立製作所以外のメーカーなど様々な企業に応募しよう考えていました。しかし、企業のホームページを閲覧したり、説明会に参加したりしても、総合商社ほどワクワクできず、逆に総合商社で働きたいという思いが強くなりました。
あまり行きたくない企業の事業内容を調べることや、選考対策をするくらいなら、その時間を総合商社の選考対策に費やそうと考え、結局エントリーしませんでした。もし総合商社が全部だめでも、その後からでもなんとでもなるだろうと楽観的に考えていました。
-周りの内定者は体育会が多いでしょうか?またどのような方が内定していますか?
はい、確かに体育会系は多くいます。また、帰国子女や私のような留学経験者も多くいます。
ただ、多くの内定者に共通しているのは大学生活を含めた就活までの人生で常に何かしらの目的や目標をもって、その達成のために能動的に動いてきたという点だと思います。体育会系や留学経験者でなくとも、大学での研究や自分の好きな趣味に他の人よりも多くの情熱を注いで活動してきた人が多くいるように感じます。
また、明るくて話すのが好きな人が多いです。内定者との飲み会などでも、初対面にも関わらず皆積極的に話すので初対面とは思えないほど盛り上がります。
-希望の総合商社の内定を獲ることができ良かったですね。希望通りの内定を獲得するために必要なことは何だと思いますか。
内定を獲得するために何をすべきかを見つけて、そのすべきことを徹底してやったことだと思います。私は就活のそれぞれの段階で総合商社からの内定獲得という目標を達成するために何をすべきかを考えていました。
例えば、就活初期段階ではまず書類選考を突破するために一日何時間もSPIの勉強をする、書類選考を通過したら徹底して面接の練習をするなどです。
ESの文章を書くのが得意だったり、面接でのコミュニケーションが得意だったりと、人それぞれ得手不得手はあると思います。自分の第一志望からの内定を獲得するためには自分には何が足りていないのかをしっかりと考えて、足りていない部分を補うために誰よりも徹底して努力をすることが希望の内定を獲得するために必要だと思います。
-ありがとうございました。
編集後記:
総合商社に内定した方にインタビューを実施した。留学経験があるものの、体育会や帰国子女でもない中、短期間で就職活動の準備をして、成功している方の体験談はノウハウがぎっしりつまっていて参考になるインタビューであった。
また、親をはじめ周りの人を活用し、しっかりと対策をしている点に関しても巻き込む力が実際にあるように感じた。
今日は以上だ。